アンケート

□それぞれの未来
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「まあね。早く起きないと子供達に会えないだろう?夕方に1度会うぐらいじゃ、親子の関係が崩れそうだしさ」

「お父さんが頑張ってるの、私知ってるよ?だから別にゆっくり寝ててもいいのに……」

「夕方に1度会えるぐらいでもいいとは思うけど、父さんは嫌なの?」

「嫌だよ。それに決めただろう?家族4人で朝ご飯を食べる、ってさ」

「そんな小さい時の話なんて……。お父さんって変わらないよね」


こうやって大きくなった2人を見て、そして愛する旦那と囲む食事も[日常]になってしまったが、やっぱりいいものだな、としみじみと感じる。

私が用意した朝ご飯を食べながら、何気ない会話をして―――臨也の言う[親子の関係]というものを繋ぎ続け、そしていつか二人にも私のように愛する人ができて、そして命は続いていく。


―――壮大だけど……もう遠くない未来なんだよね……。

―――立派になった二人が巣立つのは寂しいけど……4人家族って事には変わらないもんね。


「変わるつもりが無いからね。……お前達、時間はいいのかい?そろそろ行かないと遅刻するよ」

「あっ!本当だ!ねえ、お父さんっ、早く携帯元に戻してよ!」

「君が無駄遣いしなくなったらね」

「もうっ!お父さんのバカっ!」

「早く行こうよー遅くなるよ!」

「解ってるよぉ!お父さん、お母さん行ってきます!」

「行ってきます!」

『いってらっしゃい、気を付けてね』

「いってらっしゃい」


―――――――……

来良学園 1−A

筑紫視点


「ギリギリセーフっ!」

「いっつも筑紫はギリギリだねー」

「まあね。お父さんとお母さんと話をしてたら遅くなっちゃった」

「仲良いねー。私の所なんてさ―――」


私が通う来良学園。

お母さんもお父さんも通っていた、という高校は少しだけ耐震工事とか塗装の張り替えなどあったが、今も池袋に存在し、今もこうして私達の学校として機能している。

ふう、と息を吐き出しながら鞄を片付けたり、教科書などを机にしまっていると友達が声をかけてきてチャイムが鳴るまで話をする。


「……やっぱり私の家って変なのかなぁ」

「変じゃないと思うけど……両親がそれだけ仲が良いって凄く稀だと思う」

「いっつもお父さんはお母さんの隣に座るし、お母さんはお父さんの言いなりだし……」

「筑紫のお母さんってどんな人?」

「うーん、お父さん大好きで、優しくてあんまり怒らない、かな」

「お父さんはー?」

「うーん……お母さん大好きで、仕事が忙しくても私達の事を心配してくれて、怒ると凄く怖い、かな」

「私から見たらすっごく憧れるけどなぁ」

「ええええ……でも、お父さん物凄く面倒だよ?」


友達の家はあまり両親が仲が良くないらしく、毎日喧嘩が絶えなくて―――私からしてみたら全くの未知の世界だった。

お父さんとお母さんが喧嘩している、という場面は小さい時からそれ程なく、あったとしてもお母さんが折れるか、お父さんが[言い過ぎたね]と言うので酷い喧嘩に発展した事はない。


―――でも、毎日喧嘩してるのは嫌だなぁ……。


「面倒?どこら辺が?」

「うーん……拗ねるとずっと文句を言ったりとか、お母さんが友達とかと話してるとすぐ不機嫌になったりとか……物凄く面倒臭い」

「筑紫のお父さん、すっごく可愛いじゃん。私のお父さんなんて、自分で動かずにあれやれ、これやれってさぁ。じゃあ自分でやれよ、っていっつも思うもん」

「えー、それやだぁ。お父さんはお母さんにあれこれやって、って言うけどお父さん、やろうと思えば何でもできちゃう人だし……頼むのはお母さんだけだし……」


ご飯だって作れるのは知っている。

前にお母さんが風邪引いた時なんて、私達にチャーハンを作ってくれたり、オムライスを作ってくれたり、小さい時なんてお弁当も作っていたのも覚えている。
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