アンケート
□突然の瞬間
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リクエスト
長編夢主ちゃんが誘拐されて全力で探す臨也と静雄がみたいです(´-ω-`)
<突然の瞬間>
新宿某所 歩道
愛子視点
―――……変な車……。
先程から私の後ろをついてくるかのように車がノロノロと進んでおり、不気味なものを感じた。
今日はこれといって友人達との約束は無く、そろそろ入学準備でも始めた方がいいんじゃないか、
という気が早い旦那の言葉で新宿にある百貨店で子供達にプレゼントする下敷きやノートなどを買い、家に帰る為の道を歩いていたのだが―――
どこからかつけられており、また旦那絡みの事か、と心の中で小さく溜息を吐き出す。
もしかしたら自分が何かしたのかもしれないが、やったとしてもそれはほぼ旦那である男―――折原臨也の指示に従っただけなので結局臨也絡みの事しかないのだ。
―――走って逃げた方がいいかな……。
―――でも、家がバレたらマズいよね、やっぱり……。
気にしないように歩いているのだが、やはり何メートルも後ろをノロノロと動いていると気になってしまうし、用事があるなら早く言ってくれ、と思ってしまうのだ。
それに臨也は情報屋をしているので家がバレて子供達が危ない思いをするかもしれないし、臨也だって怪我をしてしまうかもしれない。
そんな事はさせたくないし、ここで振り切れるならば振り切ってしまいたい。
私は意を決して、歩きから早足に替えて後ろを振り返らないように気にしないように家とは違う方向を目指し始める。
私が早足になった事に車側も気付いたようでエンジンの音が僅かに速まった気がして―――もしかしたら近付いてくるかもしれない。もしかしたら、もう後ろにいるかもしれない。
そんな事を考えつつ、怖くて振り返られなくて―――早足から走りに替えて一気に相手との距離を縮めようとした、だが―――
「こーんにちーはぁー」
『―――――……っ!?』
―――――――……
数十分後 新宿 某マンション
臨也視点
「……遅い」
「貴方の仕事のスピードが?……そうね、確かに遅いわ。やっぱり愛子がいる時と居ない時じゃ仕事のスピードが全然違うわよね」
「彼女がいるとやる気が違うんだよ。……そうじゃないよ、波江さん。愛子が帰って来ないんだ」
「帰って来ない、って……。たった40分、50分帰って来ないからって遅いって言ってたら何もできないわよ」
「ほんの数十分前までメールのやり取りをしてた愛子が突然返事を返さなくなったら心配するのは当たり前だろう?」
「……それ本当?」
「君に嘘を吐いても俺に損しか生まれないから正直に言うけど、本当だよ」
毎日のように離れる時はメールをして、連絡を取り合っていた筈が突然返事が返って来なくなった。
誰か知り合いにあったのかと思ったのだが、何度メールをしても返事が返ってくる気配がなく、俺が送ったメールが数十通になろうかとしている時、秘書である女―――
矢霧波江さんが[電話は?]と俺の言葉を信用したのか、神妙な表情で俺に問いかけてきた。
「したよ、何度もね。でも、留守番センターに接続されるだけで一度も愛子に繋がった事はないんだ」
「……また何かしたんじゃないでしょうね?」
「最近はしてないよ?俺にも色々と予定があるからさ。そうそう構ってられないんだよ」
俺は別に遊んでいるわけではないし、やる事はきちんとやっている。確かに彼女が居てくれた方が気分的には違うが、愛子と出会う前は一人でやってきたのだ。