アンケート

□復讐の時
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リクエスト

夢主ちゃんが左手の手首を骨折して、臨也が骨折させたチンピラww?を追い詰めていくみたいなありがちなのをいいですか?


<復讐の時>


池袋某所 夜

愛子視点


「折原臨也の女って、手前の事だな?」


今私は、数人の男達に囲まれ、身動きが取れないでいた。

後ろに下がろうとしても、[逃げられないぞ]と言わんばかりに2人の男が立ち塞がり、前にもリーダー格の男と、

その部下のような男がニヤニヤと、私が知っている人間とは違う―――質の悪い笑みを浮かべてそう問いかけてきた。


『…………っ』

「知ってっか?手前、俺らの中じゃ結構有名なんだぜ?だからよぉ、こうやって一人になってくれて好都合ってわけだ。

しかも、ご丁寧にこんな路地裏まで入ってきて……もしかしてあれか?襲ってください、って言ってんのかよ」

「それなら笑っちまうぜ」

「ぎゃはははっ、それサイコー!やべっ、腹いてぇ」

「お前、笑い過ぎだっつーの」


―――どうしよう……。


―――――――……

数分前 池袋駅前

愛子視点


―――遅くなっちゃった……!

―――早く帰らないとまたうるさいからなぁ。


携帯を見ながら心の中で呟く。

今日、池袋にやって来たのは友人達と映画館に行く為であり、今話題の羽島幽平の映画―――[真夜中の執事]を見る為である。

本当なら前売り券なんてもの、手に入れられる筈もなく―――ネットでプレミアムが付くほどの価値があるのだが、

前日に友人―――平和島静雄さんに呼び出され、後ろめたさを感じながら彼の元へ行くと静雄さんは言いにくそうな表情で手にビニール袋を持って立っていた。


――『どうしたの?』

――「愛子、お前羽島幽平って知ってっか?」

――『そりゃあ……。凄い人気の俳優さんでしょ?』

――「……お前には言うけどよ……羽島幽平、……平和島幽は俺の弟なんだ」


そんな衝撃的な発言に私は空いた口が塞がらず、ポカーンとした表情で彼の姿を見つめていた。


――「それでよ……幽が俺に観に来てくれ、って映画の前売り券くれたんだよ。たくさん余ってるから知り合いとかダチとかで見に来てくれ、って……」

――『…………』

――「……俺よ、あんま映画館とか好きじゃねぇんだよな。いや、別に幽の映画が見たくねぇってわけじゃねぇ。ただ……こっちは真剣に見に来てんのにたまにいるだろ?

騒がしい奴。そういう奴らに俺、キレちまうかもしんねぇ。そうしたら折角幽がくれた券が無駄になっちまう。だから……お前にやるよ。

お前、結構ダチとか知り合いとか多いだろ?そいつらと楽しんで来いよ。けど、ノミ蟲にはやるなよ?」


と静雄さんには似つかわしくない、長い台詞をあちらこちら視線を動かしたり、身体を動かしたりして語っている。

プレミアムが付くほどの価値がある前売り券を[たくさん余ってる]と言って渡す羽島幽平は凄い―――と感心してしまった。

静雄さんは持っていた袋から何十枚の束になっている羽島幽平の映画の前売り券を取り出し、渡してきて、

[アイツらに見せてやれよ、喜ぶんじゃねぇか?]と少しだけ嬉しそうに言葉を吐き出した。


―――こんなにいらないんだけど……。


そう思ったが、[面白い]と思ったら何回も見たくなるかもしれない。それに友人―――紀田正臣君達にも配れば、きっと喜んでくれる、そう思って有難く受け取る事にした。
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