アンケート
□あの日の出来事
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注意書き
ちょっとした手違いにより、リクエストして頂いた方の本文を消してしまいました。申し訳ありません。
しかし、内容は覚えているので大丈夫です。
<あの日の事>
新宿 某マンション
愛子視点
「ねえ、これ覚えてるかい?」
『これって……。覚えてるに決まってるじゃん。わぁ……懐かしい』
双子は保育園へ、臨也はパソコンの前に座り、何やら整理整頓をしているようで机の上には、のりやらテープなどの日常品から、
何に使うかも解らないような物まで出てきて、どれだけあの机の中に入っていたんだ、と心の中で思いつつ雑誌を読んでいると臨也が一枚の写真のようなものを取り出し、私を呼んだ。
それは子供達がお腹にいた頃の写真であり、辛うじて顔がどこにあるのか、男の子か女の子かを判別できるだけであり、今見てもどうなっているのか良く解らない。
―――懐かしいなぁ……。
もうあれから5年も経ったのだ。
時が経つのは早いな―――と思いつつ、あの頃の事を思い出す。
―――――――……
5年半前 新宿 某マンション
愛子視点
―――私、このままでいいのかな……。
子供ができている―――そう解った瞬間から彼はとても優しくなった。忙しそうにしながらも[体調はどうだい?]と声をかけてくれるようになったし、一緒に寝る事も多くなった。
それに波江さんも愚痴を零しながらも[子供が生まれるまでよ]と言って今は台所で私達が食べた食器を洗ってくれている。
―――あれぐらいできるのに……。
重たい物はあまり持たない方がいい、と言われたので何かを運んだりするのは避けているが、食器を洗ったりご飯を作ったりするぐらい、今の身体でもできる。
病人じゃないんだから―――と笑ったが、彼は[念の為だよ]と言って彼女は[貴女は散歩でもして来たら?]と厄介払いするように言うので部屋の中をぐるぐると歩き回っている。
本当なら外の空気を吸いながらのんびりウォーキングをしたいのだが、
臨也が[君だけの身体じゃないんだよ?]と怒るので結局家の中で歩いているか、座っているかのどちらかの生活を続けていた。
「今日、面白い話を聞いたんだ。聞きたいよね?」
『……聞きたい、じゃなくて言いたい、でしょ?』
「やっぱり外の刺激が欲しいだろう?あんまり外に出られないし、買い物行くぐらいなんだから俺が外の刺激を与えてあげようかと思ってねぇ」
『外に出さないようにしてるのは紛れもなく隣にいる人の所為なんですけど……』
ジト目で臨也の顔を見る。
しかし、彼は笑って[誰の事だろうね?]というので心の中で貴方の事ですよ、と呟きつつ、面白い話―――という話に耳を傾ける事にした。
「子供が安産で生まれるように祈願する神社があるらしいんだけど……気になるかい?」
『へぇ。そんなのあるんだ……。知らなかった』
「俺もだよ。君が子供を授からなかったら俺は生命の神秘、という人間が人間を産む過程なんて興味も持たなかったかもしれない。君が新しい世界を教えてくれたんだ」
『そんな大層な話じゃないと思うんだけど……』
本当に嬉しそうに笑うので何故だか自分まで嬉しくなってきて―――近所の子供に[新しい玩具を買って貰った!]と報告されているような気分になる。