折原家

□突撃隊
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そんな私達家族を見て狩沢さんは大喜びしており、遊馬崎さんは納得したような表情で[大胆っすねー]と感心しているようだ。


「駄目だ、って言ったら?」

「そんな事言わないでよー。別にどこかに掲載するとかじゃないんだしさーちょっとした興味、っていうか……

イザイザって結構謎に包まれてる部分多いから、世の女性達に……ゲフンゲフン」

「…………」

『……確かに。私は臨也と一緒に住んでるから色々解るけど世の中には知らない人、いっぱいいるんだもんね……』


目を細め、嫌そうな表情をしている臨也にお構いなしに話を進めようとしていく狩沢さん。

そう言われると確かに臨也には謎が多くて―――隠している部分を無理矢理聞こうとは思わないが、聞いて答えてくれるならば教えてほしい。


―――もっと臨也の事……知りたいし。


「……君も狩沢の意見に賛成かい?」

『知らない……パパが知れるなら知りたい、かな』

「とーと、わるいこー?」

「わるいこはめって、せんせーいってたよー?」


私の言葉を聞いて臨也は大きく息を吐き出し、問いかけてくるので素直に答えている間、二人は解らないなりに理解したのか、全く関係無い事を問いかけてきている。


「じゃあOKって事ね!まず……どんな事を聞こうかなぁー」

「俺からいいっすか?」

「お、ゆまっち!言っちゃって言っちゃって!」


どこをどう[OK]と捉えたのかは解らないが、狩沢さんはどこからかメモ帳とボールペンを取り出し、どんな質問をしようか考えているようだ。

その間に遊馬崎さんが小さく手を上げている事に気付いた狩沢さんはケラケラ笑いながら興味津々に促した。


「岸谷先生といつ出会ったんすか?」

「……それ、突撃インタビューと何か関係あるのかい?」

「俺個人が気になってた事っす。臨也さんと岸谷先生ってどこか通じ合ってる、って感じなんすよねー」

「まさか……っ、愛子たんと双子ちゃんという可愛い妻と子供が居ながら……そんな!」


言葉では[ショックを受けた]と言わんばかりだが、表情はもっと聞きたいという感情がそのまま顔に出ているかのように興奮している。


「……新羅とは中学からの腐れ縁だよ。君が考えてる関係じゃないから、その顔やめてくれない?」

「中学っ!イザイザが中学生って!憎たらしい中学生だった!?それとも愛されボーイだった!?」

「……黙秘権を主張するよ」


―――……中学からの知り合い、かぁ……。

―――……ちょっとだけ、羨ましい。


私にはそんな人居ないのに―――と考えたが、彼の友人と呼べる人間は岸谷さんしかいないような気がして、少しだけ同情した。

それでも彼と何十年も[友人]という関係を築いている岸谷さんは、凄いのかもしれない。


「じゃあ……愛子たん!愛子たんはイザイザのどこが好きー?」

『!?……え、え……そ、そんな事急に言われても……』


臨也だけに話を振るのかと思ったのだが、狩沢さんはマイクのように右手を差し出してきて返答に困った。

本人も居て、子供達も居て―――遊馬崎さんや狩沢さんまでもがいる。もしこれが臨也だけならば迷わず、[全てが好き]と答えていただろう。


「いいんだよー?イザイザの嫌な所、全部吐き出してもー」

『……っ、嫌な所はいっぱいあるけど……それを含めて、……全部が好き、です……』

「…………」

「臨也さん、もしかして照れてるっすか?照れてるっすよね!?」


催促するように右手を押し付けてくるので、耐えきれなくなった私は息を整えて小さく言葉を吐き出した。

そんな私に彼はコーヒーを飲む手を止めて何も答えずに、二人が見ていたテレビを一緒に見ていたので遊馬崎さんはその行為を[照れている]と理解したようだ。
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