折原家

□甘い時間
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注意書き

双子は出てきません。

臨也さんと主人公ちゃんがただラブラブしているだけの話です。


<甘い時間>


新宿 某マンション 早朝

愛子視点


『ん……朝……?』


ボーっとした頭のまま目を開けると周りは薄暗く、手繰り寄せた携帯電話の淡い光に目をシバシバさせつつ時計を見ると、

まだ早朝の時間帯であり、隣の彼も気持ち良さそうに目を閉じている。

まだ起きるのには早い時間なので二度寝しようと思ったのだが、もし二度寝して寝坊したらどうしようか―――と不安になった。


一度、二度そう言った事があり、子供達が[ママ、おーそーいー!]と言いながら扉を開けた瞬間に起きたぐらいなのだ。

彼も私に起こされなかった事によって、そして自分で起きなかった事によって同じように起きて、[悪かったよ]と眠たそうな顔で謝って来た事があった。


―――でも、後2時間……何しようかな。


大体起きるのが6時か7時であり、最近は寒くなって来たので7時に起きて、のろのろと準備を始めるのでまだ後2時間の余裕がある、という事になる。

早めにやってしまおうかとも考えたが、子供達や隣で寝ている彼―――折原臨也を起こすのは可哀想だ、と思ったので布団の中で携帯を触ったり、ゴロゴロしていると―――


「……こんな早い時間から何やってるの?」


とまだ覚醒しきっていないのが一目で解るような表情の臨也が問いかけてきて、起こしてしまったようだ。


『あ……ごめんね、起こしちゃった?』

「いや、いいよ。……うん、大丈夫だから」

『えーと……寝ていいよ?眠いんでしょ?』


最初の口調はハッキリしていたので完全に起きてしまったのかと思ったのだが、次の言葉でまだ寝ぼけているのだと知り、罪悪感が膨らんでいく。

私と一緒に寝る時もあれば、遅い時間に寝る事もある臨也。いつもならば[おはよう]とスッキリ、

とまではいかないが朝の挨拶から始まるのだがこうやってボーっとした表情をしている時の彼は遅い時間に寝た反応だ。なので二度寝するように言うのだが―――


「起きてるよ。また……、なったら、困るし……」


と寝言にしか聞こえない言葉を返しており、とりあえず私の声には反応しているようだ。多分臨也も[また寝坊するかもしれない]という気持ちがあり、起きていようと必死なのだろう。

しかし、身体は睡眠を求めており、彼が目を閉じればすぐに寝息のような呼吸が聞こえるが、またすぐに目を開けてこちらを見つめている。


―――可愛いなぁ……。


子供のように必死で起きている顔なんて、私ぐらいしか見られないかもしれない。

もしかしたら妹達もあるかもしれないが、それは家族間の問題であり、他人の中では私が初めてだったらいいなあ―――なんて思ったりして。

そんな可愛い姿を見て、私は子供達にするかのように彼の頭を撫でると[?どうしたの?]と呆けた表情で問いかけてきた。


『……何でもないよ』

「君がそう言う時は……大抵、俺が可愛く見えた、とかそんな理由だろう?」

『……起きたんだ。折角可愛い臨也がみられると思ったのに……』


小さく笑って誤魔化すが、やっと脳が覚醒してきたらしい臨也には通用しないようだ。

欠伸をしつつ問いかけてくる臨也に口を尖らせるように文句を言うと彼は[可愛くなんてないさ]と否定する。


「それに……可愛いって男に言う言葉じゃないよねぇ」

『そう?……私は毎日臨也の事、可愛いなぁって思ってるけど』


子供のような癖だったり、今のような何気ない言動だったり―――いつも一緒にいるとそんな所が見えてきて、心の中で[可愛いなぁ]と呟くのだ。
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