折原家
□アンケート結果
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「酷いなぁ、娘にパパみたいな人と結婚したい、なんて言われて嬉しくない親はいないだろう?そういう君だって顔が緩みっぱなしだよ?」
『え……!?嘘っ!?いや……うん、否定しない』
「だろう?でもお前達、前は俺みたいになるんじゃなかったの?」
「パパみたいになってーパパみたいなひととけっこんしゅるの!」
「ぼくもー!じょうほうやしゃん、かっこいーもん!」
「…………」
『何、その勝ち誇った顔』
「聞いただろう?俺みたいになりたいんだってさ」
『…………』
「そんな顔で俺を見ないでよ。まさかお前達が……ねぇ。でも、また気分によって変わるんだろう?」
「うーん……せんせーみたいになってみたいしーマリちゃんのママみたいになってみたい!」
『マリちゃんのママ?……ああ、ファッションデザイナーか』
「ファッションデザイナー?へえ、そういう母親もいるんだねぇ」
『うん、一回見せて貰ったんだけど凄く綺麗でさ、売り物かと思っちゃったぐらい』
「ぼくもねーしゅーってやってみたい!」
「しゅー?」
『こっち見ながら言わないでよ……。しゅーって……もしかして消防士さん?』
「消防士……?ああ、そういう事か。もしかしてそれも両親の中にいるのかい?」
『ううん。保育園の行事で確か、消防士さんが実際に火を消す姿を見せてくれた時かな』
「今時の保育園はそんな事をやるんだねぇ。小さい時は火が危ないから、って参加させないものなのに」
『まあ参加した人は年長さん達だけだし……それに親が近くに居て、手も繋いで見てただけだから』
「へぇ。……じゃあ、二人の夢はまだ決まってないって事かな?」
「いっぱい、いーっぱいやってみたい!」
「あたしもー!ママみたいになってみたいしーパパみたいにもなってみたい!」
「子供は夢が多くていいねぇ。実に喜ばしい事だよ」
『まあね。一つに決めるよりも、色々見つけて最後に本当にやりたい事を見つけるのが一番だと思う』
「じゃあ、この質問の答えは[夢がありすぎて決められない]って事、かな?」
「「うん!」」
『じゃあ、二人とも……かくれんぼしようか!』
「「…………」」
「唐突すぎやしないかい?二人の顔が面白いぐらいに間抜けな顔をしてるよ?」
『でも、こういう事は思い立ったら吉日って言うでしょ?かくれんぼしようよ』
「……君がやりたいようにやればいいさ」
『……その憐れむような顔はやめて。何か言った自分が悲しくなる』
「……かくれんぼ!やるー!」
「……あたしもやるー!」
『じゃあ、30数えるから三人とも隠れてね?パパ、外に出るのは無しだから』
「俺がそんな事をすると思ってるの?いくら俺でもそんな無粋な真似はしないよ」
『それならいいけど……じゃあ、よーいスタート!』
「かくれんぼー!」
「ママ、あたしみつけちゃ、めっだからね!」
『はいはい』
『……よし、三人とも隠れたかな……。……。うん、見なかった事にしよう』
一瞬で見つけてしまった双子の片割れ。
しかし、本人は全く気付いていないようで口を両手で押さえ、私の方を見ながら笑っている為、[どこかなー?]と見てないフリをする。