折原家

□クリスマス
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『いいよいいよ。ね、ほら、パパと一緒にお留守番、できる?』

「できるー!」

「あたしもできるー!」


ニコリ、と微笑む私に二人は安心したのか、笑顔という名の花を咲かせ、片手をあげて返事を返した。

本当なら臨也に見てきてもらうつもりだったのだが、ここは仕方ないので二人が寝た後、見に行く事にしよう、というと彼は―――


「二人がテレビでも見てる時にでも部屋に入って見てくればいいだろう?」


まるでスパイ映画に出てくる主人公、そして忍者漫画に出てくる忍(シノビ)のように彼は二人の興味を逸らし、部屋に入って靴下の中身を見てくる、と言った。

そんな簡単に行くのだろうか―――少しの不安が残るが、彼は余裕、とばかりの表情をしている為、[お願いします]と言って頭を下げる。


『じゃあ、ママは買い物に行ってくるからお留守番、お願いね』

「「はーい!」」

「いってらっしゃい、愛子」


―――――――……

数分後 折原臨也のマンション

臨也視点


「二人とも、今日は何して遊ぶんだい?」

「えーとねー、おにごっこー!」

「ぼく、かくれんぼがいい!」


妻である女が家を出た事を確認すると、俺は二人の興味を逸らす為に遊びを持ちかける。

すると、疑う事を知らない二人は真っ直ぐな顔をして自分達の遊びたい遊びを口にした。


鬼ごっこができるようなスペースがあるとは思えないが、小さな子供二人と大人である俺が一人なので何とか大丈夫だろうが、

双子の部屋に行きたい俺は鬼ごっこよりもかくれんぼがしたい。


まさかこんな年になってまでかくれんぼをするとは結婚する前まで、そして子供が生まれるまで考えた事はなかった。

だが、意外と遊んでみると楽しいもので妻である女―――愛子に怒られるまで子供達に混じって遊んでいる俺が居る。


「俺はかくれんぼがいいと思うんだけどなぁ」

「えー……パパもあそぶのー?」

「パパが遊んじゃダメなの?筑紫」

「……パパ、すぐみつけちゃうからたのしくないもん……」


最近娘である筑紫が俺と遊ぶ事を拒否してくる事がある。

これが反抗期なのか、と一人納得する俺だったが、大事な娘に否定されるのは傷付くわけで。いつかは[パパの洗濯物と一緒に洗わないで]なんて、言われるかと思うと未来が恐ろしい。

今は解り易い否定の仕方だから助かるが、これが複雑となれば俺は―――考えるのはやめておこう。


「じゃあ、こうしよう。パパが鬼の時は2回見つかっても良い、ってのはどうだい?」

「……わかったー」


あまり納得していないような表情だが、何とかその条件で俺は二人のかくれんぼに混ぜて貰える事になり、最初は紫苑が鬼だ。
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