折原家
□クリスマス
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<クリスマス>
12月中旬 折原臨也のマンション
愛子視点
「サンタしゃん、ぼくのおうちにくるかなー」
「あたしね、あたしね!サンタしゃんにおねがいするのー!」
『そっかー。いい子にしてたらきっと二人の許にもサンタさん、来てくれるよ』
冬が本格的になってきた今日この頃。
外ではクリスマスツリーや飾りつけなど毎日キラキラと輝いており、街の人達も、そして私の知り合いでさえもクリスマスの話題で持ちきりだ。
友達と、それとも家族、恋人でクリスマスを過ごすのか、などなど、話題にあげる人達が多い。その中で私と旦那である男が困っている事。
それが―――子供達のプレゼントだ。
家族で過ごす、という事が大前提である今回のクリスマスだが、私だって誘われなかった、というわけではない。
友達である竜ヶ峰君や紀田君、杏里ちゃんなどに[一緒にパーティーでもしないか?]と誘われたのだが―――臨也の[駄目]の一言で泣く泣く断る事になり、今に至る。
自分の我が子にクリスマスプレゼントを贈るつもりで二人に問いかけるが、双子は声を揃えて[ないしょー]と笑い、答えてくれない。
これでは子供達のサンタさん―――私と旦那、折原臨也はプレゼントを渡す事ができなくなってしまう。
「でもさ、サンタさんってお前達の欲しい物、解ってるのかな?解らないのならサンタさんだってプレゼント、くれないかもしれないよ?」
「サンタしゃんはすごいんだからぼくのほしいもの、わかるもんっ!」
「くちゅしたのなかにあたしのほしいもの、かいたからサンタしゃん、きっとぷれれんとくれるもん!」
いつの間に―――と顔を見合わせ、私が買い物に行っている間に臨也に見て貰おうとすれば、彼もそれに気付いたようで頷き、[それなら大丈夫だね]と微笑んだ。
―――片一歩だけないと思ってたら……二人が持ってたのか。
洗濯の時に二人の靴下の一足だけがどうしても見つからず、双子に問いかけたのだが、[しらなーい]と首を振り、臨也にも[知らないよ?]と言われる始末。
どこに行ったんだろう―――とずっと探していた靴下が、まさか二人の所にあったとは思わないだろう。
『じゃあ、そろそろお買い物にいこっか』
「おるしゅばんするー!」
「あたしもおるしゅばんするー!」
『え』
いつもなら絶対に何があってもついてくる筈の二人が、[お留守番]というとは思わなくて―――思わず、額に手を置くが、熱は無い。
具合が悪そうには見えないし、いつもの元気そのものの二人―――筑紫と紫苑である。
臨也もまさか二人がお留守番する、というとは思わなくて目を丸くし、[行かないの?]と問いかけた。
「サンタしゃんまってるの!」
「ぼくも、サンタしゃんまってる!」
『……まだクリスマスじゃないからサンタさんは来ないよ?』
「やーだっ!くりしゅましゅまでまってるもん!」
家に居てもドアを開けて入ってくる事はないのだが―――これでは臨也と私の計画が台無しだ。