折原家
□初雪
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<初雪>
12月上旬 折原臨也のマンション
愛子視点
≪―――明日は全国的に初雪が観測され、今年一番の寒さになるでしょう。続いては―――≫
「はちゅゆきー?」
「はちゅゆき、ってなーにー?」
何気なしに見ていた天気予報。
いつも通り子供達は自分達の好きなテレビを見て、それが終わったのか、旦那がテレビのチャンネルを回し、聞えて来た明日の天気。
最近朝起きるのが辛いほどの寒さだとは思っていたが、まさかそんなにまで寒くなるとは思っていなかった為、独り言のように[明日、寒いのかぁ]と呟く私。
「今年初めて降る雪の事だよ。明日は雪が降るぐらい寒くなるみたいだねぇ」
「さむいのやー」
「ひやってするのきらーい」
ソファに肘をつきながら子供達の疑問に答えれば、二人は嫌そうな顔をしながら自分達のお気に入りのぬいぐるみを抱え、そろそろ眠りそうな勢いだ。
旦那―――折原臨也も小さな欠伸をしつつ、[そろそろお風呂に入ろうか]と二人を誘えば、簡単に承諾して温かいお風呂へと入っていく。
―――二人って、雪見た事あったっけ……。
やはり、都心部となればあまり雪が降らない事が多く、降っても夜中に積もって朝には雪の欠片もない事も多い。
二人の人生の中で雪を見た事があっただろうか―――そんな疑問が生まれつつも、自分の作業を終わらせていく。
「ママー、あったかーいってなった!」
「ほかほかー!」
暑かった頃は裸でお風呂場から飛び出てきては[裸で外に出るな、って言わなかった?]と父親に怒られていたのだが、
寒くなってからは外に出るのが嫌らしく、大人しく服を着るまで外に出てこようとしない二人。1年中、そうしててくれると臨也も私も助かるのだが。
「ママも早く温まってきたらどうだい?温かくて気持ちがいいよ」
『うん、そうするよ。二人の事、お願いね』
最後に肩にタオルをかけた臨也がお風呂場から出てきて、私をお風呂へと誘ってくる為、頷きつつ自分の着替えを持って浴室へと入っていく。
『はぁ……気持ちいいー……』
頭や身体を洗い、浴槽の中へと足を入れれば、少し熱いぐらいの温度が気持ちよく、足を延ばして息を吐き出す。
いくら暖房があるからといってさっぱりするわけではないので、冬はやはりお風呂が気持ち良く、疲れが取れるのだ。
―――明日、雪が降ったら子供達と遊びに行きたいなぁ。
積もるかどうかは解らないが、せっかく雪が降るのだから温かい格好をして家族で遊びたい。
子供達に初雪、というものを見せてあげたい―――そんな事を考えながらのんびりとした時間が流れて行く。
―――――――……
翌日 早朝
愛子視点
『マーマー!はちゅゆきっ!はちゅゆきー!」
「しろいの、いっぱいー!」
まだ明るくない時間帯。
それでも時間は6時を示しており、冬特有の寒さと冷たさを教えてくれる。