折原家
□twin's
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『二人とも、久しぶり。それで……頼みたい事なんだけど……』
「愛子義姉、お母さんになったんだっけ?母さんと父さん、孫が出来たって喜んでたんだよ!」
「兄(兄さん)……丈(大丈夫)……?」
「イザ兄なら大丈夫だって!お腹、刺された時もピンピンしてたぐらいだしー」
九瑠璃ちゃんが臨也の心配をすれば舞流ちゃんがケラケラと笑い、大した事ないでしょ、と言わんばかりだ。
確かに大した事はなさそうだが、ずっと辛いままでは体力が弱ってしまい、その[大した事ない]と思っていた風邪が酷くなってしまう。
酷くなりかけている臨也の体調を伝えると二人は驚いたような顔をして[珍しいねー]と口々に吐き出した。
『筑紫、紫苑、そんな所にいないでおいで』
「マーマー……」
「こわいこわいー?」
私と一緒に下に降りてきた子供達だったが、やはり記憶にないのか、おずおずと近付いては私の後ろに隠れ、問いかけてくる。
安心させるように[大丈夫だよ]と伝えるが、ぎゅ、と服を握ったまま離してくれないので苦笑を浮かべる事しかできなかった。
「筑紫ちゃんと紫苑くん、覚えてない?小さい時に一緒に遊んだんだよ!」
「無(覚えてないと思う)……小(小さい時だったから)」
「えー!絶対覚えてると思ったのになぁ!思い出してよぉー!」
「マーマー……」
「うぅ……」
二人のテンションについていけないのか、子供達は一層私の後ろに隠れてしまい、このままでは二人が来た意味がなくなってしまう。仕方なく私は携帯電話を取り出し、写した写真を探していく。
―――昔、撮った気がしたけど……消したかな。
臨也が触って無ければある筈だ。
九瑠璃ちゃんと舞流ちゃんと遊んでいる双子の写真が。少しの間探しているとだいぶ昔の写真が残っており、少しだが二人が映っている写真を見つけた。
『ほら、見て見てー覚えてない?』
「おねーたん?」
「なつかしー!愛子義姉は携帯変えないのー?今はスマホの時代だよ!」
携帯画面を二人に見せれば何かを思い出したのか、首を傾げながら今の九瑠璃ちゃんと舞流ちゃんと写真の中の二人を見比べているようだ。
『そうなんだけど……中々変えられなくて』
「じゃあ、今度一緒に携帯電話、替えに行こうよ!ね?久しぶりに愛子義姉とデートしたい!しよ!ねー?」
『時間があったらね?』
使いやすいのでいつまでも彼から貰った携帯電話を使っているが、確かにそろそろ替えた方がいいかもしれない。
使ってから3年以上経過しており、もしかしたら双子が生まれてから一度も替えてないかもしれない。
古ぼけた携帯電話を見て舞流ちゃんは外に出る口実を作ってくれる。用事が無い時に外に出る事は基本禁止なので誘ってくれる事が嬉しいのだ。
「じゃあ、どうしよっか。筑紫ちゃんと紫苑君は私とクル姉が遊んであげるって事でいいのー?」
『うん、お願いね』
「挨(よろしくね)……」
「……おねーたんとあそぶー」
「あたしも、おねーたんとあそぶー」
段々と思い出してきたのか、先程まであんなに嫌がっていたのに少しずつ前に出てくると九瑠璃ちゃんと舞流ちゃんの近くまで寄っていく。