折原家

□twin's
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『パパ……?』

「…………」

『寝ちゃった?』


寝てしまったのならばそれでいいのだが、小さい咳をする音や鼻を啜る音で彼が起きているのが解る。少しだけ反対側を見ると目を瞑っているのでこのまま眠ってしまうのかもしれない。


『二人とも、しーっだよ?』

「しーっ」

「しーっする!」


やっと解ってくれたのか、二人は私の左右にくっつき、早く本を読んでくれと言わんばかりに目を輝かせ、手には[桃太郎]と[おやゆび姫]が握られている。


―――このままで居てくれればいいんだけど……。


―――――――……

数十分後

愛子視点


「ちっちゃいっ!」

「ママのおとうしゃんとーあたしのおとうしゃんちがうねー!」


[桃太郎]を読んだまでは良かったのだ。

二人は本に夢中になっており、声を張り上げても[しーっ]とそろ、と父親の顔を見てはピースを見せてくれ、彼が寝ているのを確認しては安堵していたのだが―――

臨也が起きない事が解ると二人は騒ぎ出し、いつもの調子で楽しそうに自分の指と私の指を見比べる筑紫。

自分の指を見て、小さい事が解ると何が楽しいのかケラケラと笑う紫苑。


―――怒られないといいんだけど……。


こんな調子ではいつか怒られるんではないか―――とハラハラする私だが、臨也はずっと反対側を向いたまま動こうともしない。

時々苦しそうに咳をしているので起きているのは解るのだが、怒る、という事をしないのはそれだけ重症という事なのだろうか。


『……。……二人とも、ごめんね。下に居てくれる?』

「やーだぁ!ママといっしょがいーっ!」

「ママとあそぶーっ!」


このままではいけない―――そう思った。

きっと二人が起こしてしまう為、身体が休む事ができなくてずっと辛いままなのだろう。

だけど、二人は言う事を聞いてくれないので諦めるしかない。しかし、自分の体は辛い―――そんな状態なのだろう。

私は意を決して連絡をしなかった彼の家族に連絡すると案外あっさりと承諾し、すぐに来てくれるそうだ。


『もうすぐ、二人のお姉ちゃんが来てくれるからその子達に遊んでもらお?』

「ママはー?」

「ママといっしょー……」

『ママはパパと一緒にいないといけないから、ね?お願い』


彼の家族―――九瑠璃ちゃんと舞流ちゃんに二人は本当に小さい時に会っただけなので覚えていないかもしれない。

不安げな二人の頭を撫でればぎゅう、と強く私の服を握り、全力で嫌だと言っているようだ。本当ならばこのまま遊ばせてあげたい。

だけど―――様々な事を考えているとチャイムが鳴り、二人が来た事を知らせてくれる。


「愛子義姉っ!おっひさしぶりー!」

「久(久しぶり)……」


すぐに二人を中に通すと九瑠璃ちゃんと舞流ちゃんは[イザ兄、ちゃんとお父さんやってるんだね!]と感心した声が聞こえてくる。
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