折原家

□昔の出来事
1ページ/6ページ

<昔の出来事>


新宿 折原臨也のマンション

愛子視点


「マーマー!これ、これなーに?」

「ちっちゃいのー!」

『?』

「はいってたー」


久しぶりに家の中の荷物を片付けていた時だ。

二人も手伝う、といって自分の部屋の中を[ないないする!]とか言いながらおもちゃ箱にしまったり、[これいらなーい]と言ってゴミ箱に捨てたりときちんと片づけている様だ。


そんな様子を窺いつつ、後でご褒美に何か買ってあげよう―――なんて思っていると二人が階段から降りてきて私に手渡してきた。

何だろう―――そう思いながら手の中にあるものを見ればとても小さな、赤ん坊が履くような靴下であり、ああ、と納得し、二人に語りかけるように口を開く。


『これはね、二人が小さい時に履いてた靴下だよ』

「くちゅしたー?」

「ちいさいのはけないよー?」

『そりゃあね。二人は大きくなったからもう小さい靴下は履けないよ』


私の手の中にある小さな靴下を眺めつつ、あらゆる角度からそれを眺める双子。どこから見ても同じだよ、と思いつつ、可愛らしい二人の姿に小さく口が緩んでしまう。


『確か……1歳ぐらいだったかな。この靴下を履かせないと大泣きして……パパも私も大変だったんだよ』


―――――――……

4年前 新宿 某マンション

愛子視点


『はいはい、どうしたのかなー?お腹空いちゃった?それともオムツかな……』


目の前には大泣きしている同じくらいの体系の赤ん坊、というのは少し違う―――幼児、となった双子がおり、何をしてもすぐに泣きだしてしまう。


『うーん……どっか悪いのかな』


あやしてみるがすぐに赤ん坊のような高い声が部屋内に響き渡り、私は小さく溜息を吐き出した。

もしかしたらどこか悪くて、どこか痛くて泣いているのかもしれない―――そう思うと居ても経っても居られず、臨也を呼び出すが―――


「俺に赤ん坊の事情が解るわけないだろう?ご飯は?オムツは?何かいつもと違うとかないの?」


と僅かに不機嫌な声をあげ、パソコンの前に戻ってしまう。彼は色々と調べて助けてはくれるものの自分自身だけではまだ何もやった事がない。

オムツを替えるのも、子供をあやすのも全て私に任せているのだ。それでも子供が可愛いのは確かのようで[笑顔が俺に似てきたかな?]なんて口元を緩めながら言っていた。


『どうしよう、変な病気とかだったら……!』

「落ち着きなよ。さっきまでは泣いてなかっただろう?何か原因なのか調べてみなよ」

『だけど……っ』

「焦るから何も見えなくなるんだよ。一度落ち着いて周りを見渡してみれば何か解るかもしれない」


焦る私を見かねたのか臨也は溜息を吐き出し、仕事を中断したのか、そのまま立ち上がるとこちらへと寄ってきて二人の頭を撫でる。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ