折原家
□大切な日
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これは見世物じゃないんです―――そう思いながら臨也の腕を引っ張れば、案外あっさりと諦めたようで[次は何を見ようか]なんてのんびりと立ち上がった。
彼に遊ばれているようにも見えるが、こうやって臨也と一緒にどこかに出掛ける、という行為だけで楽しくて―――笑顔を溢せば、彼は[楽しそうだねぇ]と同じように笑ってくれる。
「二人のプレゼント、何にするか決めた?」
『うーん……どうしよう……』
たくさんの玩具。たくさんの雑貨。
見ているだけで楽しいのだが、二人の誕生日プレゼント―――となるといまいちパッとしない。確かに全てが魅力的で喜んでくれるだろう。
笑顔で[ママ、ありがとー]と抱き付いてくれるだろう。だが、何かが違うのだ。
―――何だろう……。
考えて見ても解らなくて―――首を捻りながら考えていると臨也は一つの提案を持ち出した。
「池袋の方にでも行ってみるかい?もしかしたら君が思い描く、二人へのプレゼントが見つかるかもしれないよ?」
『……そうかな』
「試してみないと解らないよ?見た目が変な料理でも、味は絶品だった、なんてよくある事なんだから」
臨也が行きたいだけなんじゃ―――とは思ったが、確かにそうかもしれない。
新宿だけで探す―――それは視野を狭める事になるかもしれないし、見つからなければ、またこちらへと戻ってこればいいだけの話だ。
彼の言葉に肯定で返し、私達は池袋へと向かう電車へと向かった。その間に時間は流れ、そろそろお昼の時間帯になる。
何か美味しいものでも食べたいな―――そんな事を考えていると、臨也も私と同じ考えだったらしく、お腹を押さえながら口を開く。
「あっちに着いたらお昼ご飯にしようか。何がいいかな」
『うーん……臨也は?』
「君の意見を聞いてるんだけどなぁ。まあいいや。じゃあ―――」
―――――――……
池袋 某ラーメン店
愛子視点
『臨也がラーメンなんて珍しいね』
「そう?俺だって時々こういうものが食べたくなるさ」
池袋駅から数分。
見慣れた光景が広がっており、人通りも多い繁華街で見つけた綺麗なラーメン屋さん。
ラーメン屋、と聞くと小汚いイメージがあるのだが、中はカップル同士がラーメンをすすり合って食べている姿もあり、デートスポットとしても最適のようだ。
何にしようか―――メニューを見ながら考えていると、臨也は既に決まったようで[決まった?]と問いかけてきた。
『まだ決まってない……。とんこつラーメンも美味しそうだよね、でも、こっちの醤油ラーメンも捨てがたい……』
優柔不断な私は決める事ができず、写真を見ると新メニュー、と書かれたラーメンが大きく乗っており、それも美味しそうに見えてくる。
そんな私を見ているのが楽しいのか、臨也は絶えず笑顔でこちらを眺めており、恥ずかしくてメニュー表で顔を隠す私。