折原家
□散りゆく花
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怒られた紫苑はキョトン、とした顔で次の瞬間には泣きべそを掻きながら[ごめんなさい]と謝っていたがこれも臨也の影響なのだろうか。
そう思った私は彼に[観察]や[趣味]などを口にしないように、と言ったのだが―――やはり言葉にしてしまうらしく、臨也も無意識だったのだろう。
[あ、言ってた?]とワザとらしく笑っていたのでもしかしたら解ってて言っているのかもしれないが。
「とーと、これ押してい―?」
何とか二人で座れたのか、双子は半分半分で椅子に腰かけ、楽しそうにクルクルと回っていたのだが、それも数分で飽きてしまい、
次はパソコン周辺に興味を持ったのか、キーボードやたくさんの字が書いてある書類に目を向け、エンターキーの上に小さな人差し指を置いた。
「駄目。パソコンとか書類とかはパパが仕事で使うから触らないの」
「「えー……」」
[駄目]だと言われて双子は頬を膨らませ、嫌な顔をしていたが何をされるか解らないので、これ以上触らせないように我が子を椅子から降ろそうとした瞬間―――
「……えいっ!」
紫苑が最後の足掻きとばかりに触っていたエンターキーを強く押し込み、パソコン画面は何かを表示していたがすぐに[OK]という確認ボタンが表示されている。
それを見た瞬間、臨也はこの世の中に絶望した―――そんな表情で落胆し、疲れ切った表情で双子を降ろした。
『……臨也?』
思わず私は臨也に近付き、呼んでみるが彼は大きな溜息を吐くばかりで何も応えてはくれない。なので、私は双子を怒るべく同じ目線となると軽く頭を叩き、[駄目でしょ]と注意する。
「だってー……」
「とーとばっかりおもしろそうなのずるいもん!」
『だからってパパのお仕事の邪魔しちゃ駄目だって何回も言ってるよね?どうしてそれが聞けないの?触っちゃ駄目なのは駄目なの。悪い子には今日のおやつは無し!』
「やだぁああ……」
「おやつたべるー……!」
『駄目。悪い子にはおやつはありません!』
ふい、と顔を背ければ双子は悲しそうな目を私に向けて[おやつたべたい]と訴えてきたが―――それを何とか無視し、
パソコンの画面を見つめると花火が数種類映った画面が表示されており、何かを買ってしまったのだろうか―――そう思った。
「ママぁ……!」
「おやつぅー……」
『なーし。悪い子は無しって言ったでしょ』
両手をブラブラと揺らすように掴み、ねだっているが私は許すつもりはなかった。
何をしてしまったのか解らないが、きっと彼の表情を見る限り、とんでもない事をしてしまったのだろう。
今だって片手で頭を押さえるように大きく溜息を吐き出しているし、やる気を無くした―――そんな表情だ。
『臨也……元気出して、ね?』
「……いや、あの子達がやった事に対しては特に怒ってるつもりはないんだよ。ただ……ちょっと厄介な事になってねぇ」
『?厄介?』
どういう事なのだろうか―――そう疑問に思っていると玄関からチャイムの音が聞こえてきた。