折原家
□歯磨きしましょ
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そんな私を見て、臨也はいつも不思議そうな顔というか不機嫌そうというか、そんな表情で[何?]と聞いてくる。
その事に関して答えられないし、答えるつもりもないので、はぐらかしているのだが。
「ママのぶんもあるのー?」
「勿論あるよ。ほら、もうすぐ出るんだから肩まで浸かって10数えて」
「「はーい!」」
「いーち、にー、さーん」
「よーん、ごー、ろーく」
シャワーの音と子供達の数を数える音が同時に聞こえるので、きっと臨也が体を洗っている間双子はお風呂に入っているのだろうと理解する。
―――10まで数えられるようになったんだね。
前は数えられずに臨也を困らせていたようだが、今は一緒に数える事で何とか10まで数える事ができるようになったようだ。
そんな小さな成長に心が温まるのを感じつつ、私も次にお風呂にはいる為自分の着替えを2階から持ってくる事にする。
「ママーでたー!」
「ママどこー?」
丁度私が着替えを持って階段から降りてくる時に、子供達が髪の毛を濡らしたまま脱衣所から出てきており、急いで下に戻っていく。
慌てて双子の髪の毛を拭いていると臨也も慌てて着替えたのかポタポタと雫を落としつつ、脱衣所から出てきた。
「またお前達は……全く。きちんと髪の毛拭かないと駄目だって言っただろう?ほら、脱衣所に戻るよ」
「「えー」」
腕を引き、戻っていこうとする臨也に双子は眉を顰めて嫌な顔をしつつ、反抗すると彼は小さな溜息を吐いて自分の頭を拭いている。
「えーじゃないの。ママもお風呂に入るんだから、ね?」
「……はーい」
「ふきふきしゅるー」
「じゃあ、早く戻って身体拭いてプリン食べようか」
「うん!」
「プリンっ!」
やっと理解したのか双子は臨也の手を引かれ、ついでに私も脱衣所へと入っていき、髪を拭く者、
拭かれる者に分かれて数分の間タオルを頭に当てていると、乾いてきたのかしっとりと子供特有のなめらかな手触りになっていく。
臨也は濡れてしまった服をもう一度脱いできちんと拭き直していた。
それでは服が濡れたままなので風邪を引いてしまうかもしれないので、私は一旦部屋に戻り、新しい着替えを持って脱衣所に戻る。
その頃には双子は[まだー?]と早く脱衣所から出たい、という言葉と髪を乾かし終わった臨也が待っている状態であった。
『はい、持ってきたよ』
「ごめんねー。わざわざ持ってきてもらってさ」
『いいよいいよ。早くパパ達が脱衣所から出て行ってくれないとお風呂に入れないのは私だし』
結局損をするのは私なのだ。
臨也が風邪を引いて看病するのも私、ここでゴタゴタしているとお風呂に入れないのも私。だが、これが嫌だ、というわけじゃないし、満たされているのは確かなので文句は言わない。
だけど、これぐらいは言ったっていい筈だ。臨也は私の言葉を聞いて[そうだったね]と、何かを思い出したかのように子供達を足早に脱衣所から出して扉を閉めた。