折原家

□春の出来事
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片時も離れたくないという臨也に最初は笑ってしまったが、家から近いというのは早く送り迎えができるし、危ない場所などに行かなくてもいいので今はとても感謝している。


「あ、筑紫ちゃんのママ、聞きました?」

『?何をですか?』

「確か―――」


こうやって情報がもらえるのはとても助かる。

自分が忘れてしまっていたり、お母さん同士で集まる事があったりすると必要なものがあったり、持たせなければいけない物があったりするので、お母さん同士の会話は必要だと思った。

ここで雰囲気を悪くしてしまえば子供達に迷惑がかかるかもしれないし、最悪虐めという事が起きてしまうかもしれない。


せっかく私みたいにならないように―――そう願いながら育てているのに、虐めなんて最悪な事が起きてしまったら私はどうなってしまうのだろうか。

絶対にそうさせないように私はお母さん同士の会話を大事にし、時には相槌を、時には意見を話しつつ、二人を待っていると―――


「「ママー!」」


揃った声が背後から聞こえ、後ろから抱き付かれたのですぐにそれが筑紫と紫苑だという事に気付いた。

隣では同じようにマナちゃんも来たようで、お母さんと何か話をしているようだ。


「ママ、ママ!きょうね、リカちゃんとおともだちになったー!」

「あたしはねー、せんせーにつるじょうずだね、ってほめられたのー!」

『そうなんだ。偉いね』


こうやって今日保育園で何があったのか話してくれると、とても嬉しい。

子供達が何をやっているのか―――先生に絵を褒められた、友達と喧嘩した、お遊戯で上手に踊れた、などなど1年を通して様々な話をしてくれる。

それが自分も一緒に保育園に通っているようで楽しみの一つになっていた。


「マナちゃーん!またあしたねー!」

「うん!筑紫ちゃんあした、つるのおりかた、おしえてね!」

「うんー!」


別れ際にマナちゃんと筑紫は手を振りながら会話をすると、すぐに私の手を取って歩き出す。

その隣でお母さんも軽く会釈していたので手を取りながら私も同じように会釈し、離れて行く。


「それでね!―――」

「あとあと!―――」

『そうなんだー!凄いね―――』


両手に子供達の小さな手を握りつつ、新しくなった組について話をしてくれた。

紫苑は相変わらず臨也と同じような顔をしている為、モテモテらしく女の子達と遊んだり、時々男の子達とサッカーをしたりと楽しく遊んでいるようだ。


筑紫は私と同じような顔や性格をしている為、中々特定の友達ができないようだが、ずっと組が同じ友達と遊んだり、新しく友達が少しずつではあるができてきているようだ。

そんな新しい環境について話を一通りしてもらうと、私はある事を思い出し、言葉を吐き出す。
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