折原家

□お昼寝の時間
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姉をトイレの扉で隠しつつ、数分待っていると[ママぁー]と終わった事を知らせてくれる為、扉を開けて中に入り、子供のお尻を拭く。


『一人で、できるなんて偉いねー』

「へへ……っ」


手を洗い、タオルで水気を拭い、筑紫の頭を撫でてやると姉は得意げな表情で嬉しそうに笑っていた。


「ママぁ!おなかすいたぁー!」


ソファが置いてある場所まで二人で行けば、臨也は新聞を読みつつ、テレビを見ているようでいつの間にかコーヒーまで用意している。

隣には小さな子供用のコップに並々とオレンジジュースらしきジュースが入っており、紫苑の為に臨也が用意したものだろう。

子供用のコップには間違えないように名前を書き、双子はそれを自分用のコップとして使っている。


『もうこんな時間か……。ちょっと待っててね、すぐ用意するから』


テレビをふと見つめれば朝の情報番組がやっており、[7:12]と右上に表示されていた。それに慌てて台所へと入り、冷蔵庫の中身を確認すれば4人の朝ごはんぐらいはできそうだ。


―――後で買い物に行ってこないと……。


買い物には毎日行くのだが、必要な分しか買ってこない為、こうやってギリギリ何とかなる状態が続いている。

それでもきちんと生活が成り立っているのだから、自分自身を褒めて拍手を送りたいほどだ。鍋に火をかけ、双子や臨也が簡単に食べられそうなものを作り始める。

―――――――……

数十分後

愛子視点


「ごちそうさま」

「「ごちそうさまでした!」」

『綺麗に食べられたね』

「おいしかったー!」

「エビしゃん、おいしーっ!」


皿には一つの残りも無く、完食してくれた事にホッとし、一枚一枚上に乗せ、台所へと持って行こうとすると―――


「おてちゅだいしゅるー!」

「これならいいでしょー?」


と双子は残っている箸やスプーンなどを持って一緒に台所に行こうとしつつ、臨也に問いかければ彼は大きな溜息を吐いて了承した。


「……いいよ。転ばないように気を付けてね」

「「はーい!」」


父親に許可を貰って嬉しいのか、二人は両手にいっぱいの家族の箸を持って一緒に台所へと向かった。


「もってきたー!」

「えらいえらいしてー!」

『うんうん、偉い偉い』


台所の中に入ると、双子は流し台に自分達が持ってきた箸やスプーンを入れて満足したようだ。

そのうち何も言わなくても片づけてくれる日がくるのだと思うと、少しだけそんな未来が待ち遠しく思える。

二人の頭を優しく撫でれば照れたように笑い、とてとてと小さな足音を鳴らしつつ、台所から出て行く二人。
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