リクエスト

□過去の産物
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リクエスト

臨也と静雄が、自然と手を組んで(?)かっこ良くおっぱらう的なw臨也は、持てる情報全使って精神から叩きのめすとか?wwwww…………絶対勝てないww


<過去の産物>


池袋駅 夕方

愛子視点


「じゃあまたなー」

「また連絡するね」

「また」

『うん、またねー』


変わらぬ楽しい日常。

いつも檻にいる私を出すかのように高校からの友人達は誘ってくれて―――感謝してもしきれない程なのだが、3人は照れた顔で[そんなお礼をされるほどじゃない]と言ってくれる。

目の前で手を振り、それぞれの道へと帰っていく3人と出会う前はこれ以上辛い事はない、という程に辛く、悲しい―――絶望とも言えるような時間を過ごしてきた。

手を差し伸べてくれる人も、一緒に戦ってくれる人も、守ってくれる人もいない世界。


―――……悲しくなるから止めておこう……。


もう終わったのだ。

今は旦那や双子の子供達、姉のような秘書、私を誘ってくれる友人達が傍に居てくれる。それを幸福と言わずに何というのだ。

過去を思い出しても、何の良い事なんて―――


「あれ、お前……」

「あ、確か中学の時の……」

「ああ、いたな。あのキモイ奴」


記憶の奥へと押しやろうとした時、横から聞き覚えのない声が聞こえ、知らない顔をしようとしたのだが、[おい、忘れたのかよ]と私の腕を掴み、逃がそうとしてくれない。


「中学時代の同級生が折角声かけてきた、っていうのに無視するなよー。悲しくなるだろー?」

「そうだって。綾川って、覚えてね?一応、中1から中3まで一緒だったんだけどなぁ」

「マジかよ、お前コイツと3年間も一緒だったのかよ」

「マジマジ。マジ、最悪な3年間だったわー。コイツと同じクラスだった奴、誰一人として喜んでる奴なんていないっつーの」

「だよなー」


名前を言われてもかなり昔の事であり、そして虐めていた人間を一人一人覚えていたくも無いので何も思い出せないのだが、

相手は[うわ、コイツ結婚してるぜ]と私の薬指にある結婚指輪を見て、鼻で笑う。

旦那と出掛ける時にしか結婚指輪を外さない事がここで裏目に出るとは思わず、最悪だ、と心の中で思いつつ、どうしようか考える。


―――……まだ紀田君達がここら辺にいる筈……。


どうにか携帯を取り出せれば、家に向かって帰ろうとしている友人達に助けてもらえるかもしれないが、変な動きを見せれば何をするか解らないし、相手は男二人だ。

素早く逃げられるのならどうにかなるかもしれないが、運動不足気味の私の足ではすぐに追いつかれてしまう。


「おいおい、さっきからダンマリかよー。つまんねぇなぁ。ま、中学の時もずっと黙ってるか、泣いてるぐらいだったからつまんねぇ奴だったけどな」

「キモイ奴だよなぁ。何か言われてもなーんにも言わねぇ。殴られても殴り返そうともしねぇ。……なあ、アイツらに連絡するか?」

「お、いいねいいねぇ。プチ同窓会ってやつ?あ、知ってる?この前中学で同窓会やってたんだぜ?その時にお前を呼ばなくて正解だったな、って笑ってたんだぜ、俺ら」

「誰がこんな奴呼ぶかっつーの。あー、きめぇきめぇ」


―――呼ばれなくて正解だけど……。


あんな所に誰が好き好んで行く、というのだ。

思い出したくない過去。もう二度とあんな人達に会いたくない―――そう思っていたのにまさかこんな所で会うとは世界、というのは小さいものだ。


「あ、鈴夏ー?俺俺、今何やってるー?……お、マジかよ。丁度俺らも池袋来てるんだわー。そうそう、お前中学の時の、アレ覚えてるか?

……そうそう!アイツアイツ。あのキモイ奴。今ソイツといるんだけどよ、ちょっとプチ同窓会しようと思うんだけど、どうよ?」


私を捕まえたまま携帯を取り出し、どこかに何度か連絡を入れると[面白くなって来たじゃねぇの]とニヤリと笑っている。
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