リクエスト
□学校生活
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リクエスト
入学式っていいですか?もしよかったらで良いので!よろしくお願いいたします
<学校生活>
現在 新宿某マンション
愛子視点
『……ふう。これぐらいでいいかな』
「大変だねぇ、主婦って言うのはさ」
『そう思うのなら手伝ってくれてもいいんじゃない?』
「俺は雑誌を読むのに忙しいからさ。君の方で捨てるものは決めちゃっていいからやっておいてよ」
『……後でこれが無い、って言っても知らないからね』
そろそろ年末になる季節。
いつも慌てて整理整頓をしたり、片付けをしたりするので時間がある時、というかやる気のある時に少しずつ片付けよう―――
とまずは1階の私が使っていい、と言った本棚からたくさんの本やら雑誌やらを取り出し、下に置いて行く。
重い本から漫画本まで様々でここに住み始めてからの歴史を感じ、懐かしく感じる。最初は旦那が読んでいたであろう雑誌などが多く、私の本なんて殆どなかったのだが、
狩沢さんや色々な人からオススメを聞いて彼に頼んでお金をもらい、買ったりしていると段々と自分が選んだ本が多くなってきて―――
読まないな、と思った本は捨てたりしているのだが、それでも多くなってしまい、なかなか捨てられない。
―――これ、懐かしいなぁ。
気を抜くと懐かしさで読み始めてしまいそうになり、慌てて首を振って下に降ろした本を眺めていく。
そんな中で旦那は、全く関係無い、とばかりに新しく買ってきたであろう雑誌を読んでおり、[秋の温泉旅行特集]なんて書いてあって、おじさん臭いな、なんて思いながら進めていく。
『結構掃除してるけど……埃凄いなぁ』
「あまりそこは触らないからねぇ。大掃除ぐらいじゃない?掃除するって言ったら」
『ああ、確かにそうかも。本も新しく読んだら後は気が向いたら読む、ってぐらいだし……でも、私がよく読む漫画の方はあんまり埃ないよ』
「俺だって結構その本棚は使ってるつもりなんだけどなぁ」
いらない本を避けたり、埃を落としたりしているのだが、元々この本棚にあったであろう彼の本はかなり埃が被っており、手が真っ黒になりそうだ。
それなのに彼はいつまでも他人事で、少しは手伝ってよ、と心の中で愚痴を零すが、相手―――折原臨也が手伝う時は気が向いた時、と決まっているのでアテにはしていない。
それに手伝ってくれたとしても面倒な事が1つ増えるだけなのでこのまま雑誌を読みながら掃除している私を観察してて欲しい。
『あ……っ、これ……なくしたって思ってた写真、こんな所にあったんだ……』
「写真?」
片付けを進める事、数分。
いらない本として片付けようとしていた時にパラ、と1枚の写真が出てきて―――
それを拾い上げ、一瞬何の写真かと思ったのだが、すぐに思い出し、こんな写真もあったな、と懐かしい気持ちにさせてくれた。
『ほらっ、筑紫と紫苑の入学式の時に家族の写真撮ります、って言って撮ってくれたじゃん。まだそんなに時間経ってないのに何十年も前に思えるよ』
「子供の成長は早いからねぇ。あんなに学校に行きたくない、って泣いてた子供が毎日楽しそうに学校に行ってるんだから人間変わるものだねぇ」
『そういう変化が臨也は好きなんでしょ?』
「変化する人間も好きだけど……変化しない人間も好きだよ。何故変化を止めたのか、変化し続けた先に何があるのか……興味は尽きないからね」
『……結局どんな人間も好き、って事じゃん。……ねえ、この写真見てるとさ、思い出さない?入学式の事』
「色々と大変だったねぇ、あの時は」
思い出すは入学式の時の事。
人生で2回目の二人の晴れ姿に、嬉しさと寂しさがあったあの日の事。