色々な世界の腐蝕と物語

□歯車の軋みは
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「…パンタローネ。」

「何だ。」

「さっきからあの二人がコソコソとしているのに気が付いていたか。」



椅子に座る私の肩に寄り掛かり、私の話を聞く…それにパンタローネはあぁ、と気が付くように言う。



「何やら私たちのことが気になったようだな、恋愛小説がどうのと…聞こえているのも気付かずに。」

「まぁな…だがそこまで気にする必要があるのか?」



あまり見られたくない、と言っておきながら見せ付けているような行動をする…よく分からない。



「変に思われるのが嫌なだけだ。」

「同じ最古の四人として、何を恐れる?」

「…別に、何となくだ…気にするな。」



ポスポスと頭を叩かれ、子供扱いをされる…確かに若者の姿をして居るが同時期に作られたのだから変わらないだろう…。

面白くない、と腕を引いて対面し膝に座らせた。



「…どうしたのだ、アルレッキーノ。」

「…。」



無言で抱き締めると、抱き締めら返される…コロンビーヌの言っていた抱き締め合うとはこういう事なのだろう。



『心地よい、気がする。』



感触が無いのが少し寂しいが、これもまた良いのだろう…パンタローネが離れる、少し寂しいと感じてしまった…これでも人間らしくなっているのだろうか?



「そろそろ放せ。」

「……パンタローネ…。」

「また後でな。」



背を向けて去っていくパンタローネを見送る、そして何故だろうか…変な感覚に襲われる。

その正体が何なのかは分からない、でもそれも別に気にしては居ない。



『人間で言う《愛している》という感情には変わり無いだろうからな。』





_愛しているという事ならば、この歯車の軋みはきっと鼓動。

(さて、リュートの手入れをするか)
(あぁその前に)
(コロンビーヌとドットーレを問い詰めるか)



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