色々な世界の腐蝕と物語
□歯車の軋みは
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恋愛に興味があるのは、コロンビーヌだけとばかり思っていた…己が見たのは人間で言う同性愛と言う物に近いのかもしれない。
それでも仲が良いのならと己は見てない振りをしていた…二人は、多分もうただの仲間じゃないのだと思う。
「…最近あの二人をどう思う?コロンビーヌ。」
「えー?仲が良いんじゃない、それがどうかしたわけ?ドットーレ。」
「…お前の言う恋愛小説みたいなものじゃないのか?」
「…何が言いたいの。」
食い付いたコロンビーヌに思っている事を説明する、仲が良いでは済まされないんじゃないかという事や仲が良すぎて何かが違うという事。
コロンビーヌはそんな訳無いだろうと言ってはいるが、興味があるようでニヤリと笑っていた。
…そしてそれを教えた己もまた巻き込まれるのだった。
「ちょっと良いか、パンタローネ。」
「何だ、アルレッキーノ。」
隠れて見るその二人の会話は、いつもと変わらないはずだった…だがコロンビーヌが気付いた…。
…近いのだ、距離が。
「近い、近いわ!恋人同士かのようじゃない!息をしていればまるで《息のかかる距離》ってやつじゃない!」
「そう言うものなのか…?」
小説を取り出してパラパラとページを捲る、そして此処よ此処と指差した部分の一文を見れば確かに恋人同士、息のかかる距離で愛し合うというふうに書かれていた。
「まさにそれじゃない…!私達が居る時、あれほど近い距離でいた事がある?無いわ…。」
「…コロンビーヌ。」
「何よ。」
「興奮し過ぎじゃないか、それより考えろ…あの二人の元となった物を。」
「…え?」
分からないという顔、己は気にしてないがどういう事かを説明した。
「お前は人間で言う女だろう?女型、そして己は男型だ。」
「えぇ、そうね。」
「男と女で初めてお前の言う恋愛小説だろう?」
「まぁ確かにねぇ。」
「あいつ等は、男型と男型…だぞ。」
沈黙、同性愛という知識が無かったのだろう…停止している、それは多分言うなら思考が、だ。
色々考えて、考えてやっとのことで話せたそれは驚きの物だった。
「良いんじゃない、男型同士でも。」
「………。」
心配は大きくならなかった、何処かで抱いた心配は無残に砕け散る…己の要らない考えだったか。
影から見る二人は、己たちが居る時よりずっと………。
『仲が良さそうで、幸せそう…とでも言おうか。』
邪魔は出来ぬとその場をコロンビーヌと離れる事にした。
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