力の腐蝕

□大丈夫、俺にとってお前は《ただの》…。
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ブラックが私の羽をモフモフと触る、少しくすぐったいが我慢する。

触られるのが好きだから、嫌がる理由はない。



「お前の羽ほーんと綺麗だよな。」

「そうか?」

「あぁ!お前が小さい頃から見てるが、お前がでっかくなってこうやって俺も包み込まれそうな羽くっ付けてるんだからな。」

「…そうか。」

「親戚の誰かが言っていたな、天使だとかどうだとか。」

「!」



天使と言われた時は嬉しかった、でもそれはブラックからしたら誰かの感想にしかなってない気がする。

親戚なのに付き合って、何度かキスもした…でも…。



「…ブラックはどう思う…?」

「?」

「私の羽を、私をどう思って…?」

「そんなことか?当たり前に、ただの…。」



ただの、の後につく言葉が多分ただの親戚や恋人とかで済まされるのだろうと思った。

でも…違った。



「ただの、天使。」

「…ハ?」

「ただの天使、それ以上でもそれ以下でもない。」

「…。」

「俺は悪魔だから、天使を食うのは当たり前だしな…なんて…。」

「…馬鹿。」

「うっせぇ。」



笑って言う、私ももう一度馬鹿と笑って言った。



「親戚で恋人で天使、それだけだろ?」

「それだけってなんだ、それだけって。」

「だってそれ以上になったら全部奪われる気がするんだ。」

「…それ以下になったら?」

「お前が離れていく気がしたからそれ以下になることも無い。」



今が大事、とか言って私に抱き付いてきた…そうだなと私は立ち上がる。



「さ、食事を作ろう。」

「おぉー!デザートにチョコワを望む!」

「それは明日の朝だ。」





_今が、か…本当にそうだな。

(天使の羽は俺だけのものだからな)
(お前のじゃなくて私のだけどな)
(え)



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