力の腐蝕

□それは夢?
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抱き締められる感触、ブラックが抱き締めていてくれた。

急に泣き出しておかしいと思っただろうか、嫌われたくないと何度も心で思った。



「…ペンタ、何が不安で泣いたんだ?」



ビク、と自分の身体が震える…変だと感付かれただろうか…。

だが言われた言葉は優しかった。



「あのなぁ…恋人に言えない事でもあんのか?」

「…変だと思われたくない。」

「…病んでんのか?別にそれでも俺は構わないが…。」

「本当に構わない…そう思えるか?」



辛くなる、大丈夫とか言われたって本当にそうなのか心配になる。

それでもか?と思えば。



「…従兄弟で、そんで恋人で何が怖い?」

「…。」

「別に怖い物なんて無いんじゃないか?」



確かに、と思ってしまうような一言…でもそれは別に無視できる…でもそれとはまた違う。

意を決し言ってみる。



「嫌われるのが怖い。」

「ハ?嫌わねーよ。」

「じゃあ…ブラックの全てが欲しいといったら?」

「…?」

「表情が、欲しいとか…腕や足…全てが欲しいって言ったら…。」



どうする?そう言った、ブラックは私にしか分からない顔で言った。



「関係無い、全部くれてやるから何にも心配するな。」

「…。」

「そんなに心配ならお前の前以外で笑わないし、腕でも足でも首でも持っていけば良い。」

「…っ。」

「その代わり、お前の全てを俺に寄越せ。」



心配する必要など無かった、と今思っても遅く。

温かな抱擁で私は笑い、それに彼も笑ってくれた。




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