龍球の腐蝕
□桃色の小さき者、それと隣に居る者は。
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時など此処には無い。
『我は…違う。』
人が邪念を持つ限り、我は…生き続ける。
何者かに乗り移った時に我は全てを壊したくて仕方が無かった…でも出来なかった、何処かに閉じ込められていた。
「…ギィ…。」
声が不意に出た、何処とも分からぬ此処は一体?
壊せない…結界がある場所らしい、下手に動くと壊したい物も壊してしまうかもしれない…つまらないからそれは嫌だ。
『どうせ死なない。』
だから待った、出られるのを…。
でもそれはすぐにやってきた。
「…ギ?」
『…何だ…?』
桃色の小さな者は、岩の小さな隙間から此処にやって来たようで。
身体に付いた砂をはらい、俺を見て首を傾げる。
「…ウギィ?」
《何で此処に居る?》
そう言われて我は答えた、気付けば此処に居たと。
「…ギ…。」
『自分以外入れないはず?いや、この身体の者は入っていたが…。』
「ギャウ!」
「…ギゥ…?」
コイツは我と遊ぼうと言ってきた、遊ぶ気にはなれない。
我は壊したいんだ、それを言えば。
「…ヴ?ヴァギ…?」
《それを遊ぶっていうんじゃないの?》
我はそれに驚き、そして笑った。
『コイツは我と同じか。』
そうだな、と答えた。
小さき者はブウと言った、ブウは壊す事が大好きだった。
「ギャウギャ!ヴギ!!!」
『あぁ…。』
綺麗に笑う奴だ、戦いが…壊す事が好きなのだな…。
我はそんなブウを好きになった、壊しても壊しても壊し足りない…一緒だった。
「…ウギィ?」
《どうかしたか?》
ほんの少し動きを止めただけでこれだ、コイツは残虐なのか優しいのか分からない…あぁ、コイツの場合天然というものなのだろうな。
『別にと返せば、早く壊そうよと急かすお前。』
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