力の腐蝕

□当たり前に
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風邪を引いた、標識の俺が風邪を引いたなんて…きっと笑わない奴は居ないんじゃないだろうか?

でも真剣に看病してくれる男が、今タオルをよ〜く絞って居る男が1人。



「これなら錆びねぇよな?」

「…あぁ、うん。」



身体が鉄製の俺、それに水気は駄目だった…それを気にして出来るだけ水気を取ってくれていたその男。



『スカー…。』



今日は…本当は出かけるはずだったのに、電話したら凄い速さで俺の元に来てくれた…身体を心配して看病に移ったコイツは変と言ったら変なのかもしれない。



《大丈夫か!?》



部屋にいきなり入ってきたスカーの顔、きっと皆が見たら笑うだろう…。

…でもそれがとても嬉しかった、真剣に受け取り今こうして看病してくれているから。



「……スカー。」



無意識の言葉、ハッとして言葉を戻そうとしてももう遅い…スカーの耳に届いてしまった。



「あ?」

「あ…いや、何でも…。」

「…いつも言ってるだろ。」



何も言えず別の方向を見ようとしたがそれはいつもの癖、その癖を止めようとスカーに顔をつかまれた。



「ちゃんと言わねぇと分からねぇ…で、何だよ?」

「えっと…。」

「だからちゃんと言えって、苦しいのか?」



真剣な眼に、ちゃんと言わなければと…口にした。



「…その…有り難う…。」

「!」



いつもの赤い顔が更に赤くなる気がした、いやこのままだと熱で誰かが火傷しても良いかもしれない…そんな熱くなるような感じだった。

でもスカーは素っ気無く、本当に何も気にしていないかのように。



「…別に、好きな奴を1人にしたら恋人として駄目な奴だろ?だから来てるんだ、気にするな。」



笑って言った。

1人気にしていたのが馬鹿らしくなった。



「スカー。」

「何だ?」

「冷蔵庫にアイスがある、食べたい。」

「あぁ…ちょっと待ってろ。」

「…有り難う。」

「良いって言ってるだろ?」



折角の風邪、折角の2人きりだと俺は思って出来る限りで甘えてみた。

スカーは嬉しそうに答えてくれた。




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