力の腐蝕
□足りない言葉
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気付くと逃げるカーメン、見失った…何で逃げるんだよ…?
追いかけるが追い付かない、俺は叫んだ。
「カーメン…!!」
その声は虚しく、通り過ぎたようだが。
「…ただいま…。」
「あぁ、見つかったのか?」
「…逃げられた。」
「…逃げた?」
見つけて、追いかけて見失ったことを言う…と、引っ掛かる言葉をアシュラが言う。
「逃げるとは想定外だ…。」
「…どう言う事だ?」
「あ、アシュラ…!」
「………あ。」
…俺はとんでもない罠に掛かっていたらしい。
これは、俺を試しているのだと、今分かった。
「カーメンが…半分泣きながら我々に言ってきたのだ、いつも仲が良くて羨ましいなと。」
「羨ましい?」
「お前、最近カーメンに構わなかっただろう?構ってやらなかっただろう、それで嫌いになったのかーとか…そう思ってしまったようなんだ。」
「…じゃあ、何で逃げたんだ?」
「それが分からないんだ…なぁ?サンシャイン。」
「あぁ…それに、カーメンはいつもお前を思っている…。」
いつも何も言わない、分かり合ってると思っていた…でも、そうじゃなくて…か…。
「…カーメン…。」
ふと、良い匂いが漂う…俺等三人同時に匂いのする方向を見る、キッチンだ。
アシュラが聞く。
「…何か作って居たのか…?」
「…出かけてたのに…?」
「じゃあ…。」
サンシャインがキッチンへの扉を開ける、良い匂いが更に強くなった。
この匂いは、カーメンが良く作ってくれる料理の……それで誰だか分かった。
「…おかえり。」
「……ただいま。」
カーメンはちらっとこっちを見て、フライパンに視線を戻す。
…笑ってくれては居ない、でも背中から抱き締めた。
「っ、火を使っている時にくっ付くな…。」
「戻ってきてくれて有り難う。」
「…わらわは…まだ許してないからな…。」
「でも腹減った。」
「…すぐ出来る。」
アシュラとサンシャインはいつの間にか居なくて、二人で飯食って、そして一緒に寝た。
ベットの上での会話だった。
「…いつも喧嘩ばっかりだった、でも落ち着いて話すこともよくあった。」
「あぁ。」
「最近わらわは不安になった、お前が話し掛けてくれないからだ。」
「…。」
思い当たる節があってしかたがない。
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