手を伸ばしたその先へ・文

□9章
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『ねぇ、今日も行くの?』

「えぇ…でも、今日は私が付いて行くわ」

『あ、うん…』


咲夜が付いていくといった瞬間ふと宍戸を見た。
それに気づいた宍戸が優良の頭をなでた。


「大丈夫だ!」

『…うん』

「………っ」

「…(景吾…)」


最近宍戸と優良が仲がいいことに辛いのかあまり会話をしていない。


「さてと…行きますか」

『あ、待って。じゃ、行ってくるね。』

「ああ」

「いってらっしゃい!」

「気ぃつけるんやで」

「がんばれよ」

「丸井君によろしくだC」

「…(がんばってください)」

「ウス」


ニコっと笑うと部室を出て行った。
だが少し悲しげだった。


「………跡部さん。最近彼女が元気がないの…原因…あなたにもあるんじゃないですか?」

「あ〜ん?何言ってやがる…」

「あ〜、それおれも思ってたC…今日言おうと思ったんだけど先言われちゃったC」

「……きっと、優良先輩…待ってますよ…跡部先輩から何かを言ってもらえるのを…」



長太郎が少しうつむきながら言った。



「……宍戸と最近仲がいいからって言ぅても一番姫さんと一緒におったのは跡部…自分なんとちゃう?」

「!!」



侑士に言われ跡部は気づいた。



「フ…確かにそうかもな……」

「……つか、俺だけじゃねぇだろ仲がいいのは……クラスの男子だって…テニス部…だってそうじゃねぇのか?」

「……。かもな(何で俺はこんなにも焦っていたんだろう……フ…馬鹿みたいだ)」



一方彼女たちは………。



「……。ねぇ、優良…貴方が最近元気ないのって景吾…もでしょ?」

『……私、嫌われちゃったのかな………』

「……(そんなことない。むしろ溺愛してる)」



なんだかんだで立海についた。
すると、なんだか懐かしい声が聞こえた。


「あれ?咲夜じゃないか」

「ん…久しぶり」

「あれ?その子は?」

「私の幼馴染。氷帝のマネを一緒にやってるわ」

「そう…」



彼は私を見るとニコっと笑った。
その顔はとてもきれいだった。
見惚れてしまった。



「……優良?」

『へ?』


思わず変な声を出してしまった。
恥ずかしい……


「クス…」

『…///斎藤優良デス…』

「俺は幸村精市。よろしくね」

『うん……』

「……ねぇ、精市、ちょっといい?」

「ん?いいよ。あ、その前に……」

「レギュラーは集まってぇ!!」




幸村がそう声をかけるとすぐさまひとが集まった。
皆とっても濃い……。



「皆は咲夜は知ってるよね…えっとこちらは…」

『斎藤優良です。よろしく』

「クス…じゃぁ、ブン太から……」


幸村の視線の先には赤い髪に風船ガムを膨らませた男の子だった。


「おれは丸井ブン太!!シクヨロ!!」

『シク…ヨロ?』

「挨拶みたいなもんよ…」

『あ、そっか…』

「俺は仁王雅治じゃ、よろしくのぅ」

『うん』

「私は柳生比呂士です。よろしくお願いしますね」

「俺は柳連二だ。データをとらせてもらう。」

『…青学でも聞いた。乾…君だっけ』

「そいつは俺の幼馴染だ。」

『あぁ…確かにどこか似てるかも……』

「俺はジャッカ「こいつはジャッカル桑原。俺のダブルスパートナー」…よ、よろしく」

「俺は切原赤也ッスよろしくッス!!」

「俺は「彼は副部長の真田弦一郎だよ」む…幸村…」

「ん?なんだい?真田?(黒笑)」

「い、いや……なんでもない」

『……幸村君て、黒いのね…以外』

「そうかな?」

幸村以外の全員が顔色を変えた。
でも、彼と咲夜は顔色なんて変えない。
むしろ楽しそう。


「クス…咲夜の言うとおりだね。確かにかわいいや」

「でしょ?」

『……二人はどんな関係なの?』

「ん?私達?クス、それを聞く?」

『……やめとく。』


それ以上聞かないでくれて周りの人はとても安心していた。
その時、ふと思い出したことがあった。


『……あれ?』

「?どうしたの?」

「あ、ううん。なんでもない……」

『…(あの時の声…幸村君に似てる…)』

「だって、俺だもん」

『え……?』

「だから、あの時君の頭の中に流れた声は俺なの。」



その瞬間頭が真っ白になった。
咲夜はその様子を見て驚いていた。


「優良?」

「クス、あの時はよくも俺を無視してくれたね?」

『わ、私は無視…してないよ。あの時は、いろいろあったから……』

「あの時?」



咲夜が聞いたが、他のメンバーも同じことを思っていた。
優良はちらっと幸村を見れば、黒くにこにこ笑っていた。怖っ!!



『い、いや…あの…ゆ、幸村君!!』

「クス、しょうがないなぁ…確か…優良ちゃんが変な女に絡まれていた時かな…」

「!!」



咲夜は目を見開いた。



「優良の頭の中に声をかけたんだ。なんか無視されたけどねvV」

『(vVがめっちゃこわい……)』

「ん?」

『なんでもないで〜す!!』



あははっ
マジで怖いなぁ…



『てか、無視してないって!!貴方と話してたら、あの人にたたかれそうになったの!』

「え?そうだったのかい?それは悪かったね…大丈夫だったかい?」

『あ、うん。すぐ皆が助けに来てくれたから……』

「そっか。よかった」



ぁ…
今…幸村君が笑った……。
とてもきれい…だった。
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