手を伸ばしたその先へ・文

□6章
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『ふぅ……』


私は今一人で屋上にいる。
理由は何となく疲れたからサボったのだ。
だが先生も景吾も咲夜も何も言わない。
景吾らにいたっては何故かは分かっているから。


ゴソッ―――…


彼女は携帯をスカートのポケットから取り出した。
何故かは、父親に……電話をしようか…にするため……


『どうしようかな……』

「あら?あなた、転校生の優良さんじゃない?」

『貴方は?』

「私?私はファンクラブの総会長。新月唯。よろしくね」

『はぁ…、貴方…サボっていいの?』

「それはこっちのセリフよ?貴方こそいいの?」

『私はね……』


私は……いいのよ。
出たって退屈過ぎるだけ……。
でも、出なくちゃやばいかな?
それにしても、この人…新月さんは何故私に…
恨んでるんじゃ…なかったっけ?



『………。』



一人でモンモン考えていたら、頭の中に誰かの声が流れてきた。


【フフ…はじめまして
 斎藤優良さん?】


一瞬青ざめた気がした。

『…え…』

【フフ…声、出していいのかな?君、変に思われるよ?】

(…だったら、貴方も変なことしないでよ…)

【いやだ】

(……)


もう、相手をしても無駄だと思い、無視した。


【へぇ……このオレを無視するんだ…へぇ………】


(……)

【ふぅん?】

(ごめんなさい)


「ッ…何私を無視してるのよ!!!」


そう、彼女は腕を振り払った。


「……っ!!!」


目をつむった。
だけど、痛みは来なかった。
何故って?
それは………


「ちっ…てめぇ…なんのつもりだ」


「あ…っ」


「優良大丈夫か?」


彼女は顔が青ざめている。


『……』

「貴方…もう私達に近づかないで…っていわなかったかしら?」

「あら…そんなこといつ言ったかしら…まぁ、いいわ。跡部様にも会えたし…」


ニヤっと笑った。
そして、屋上から出て行った。
三人は力を抜いた。


『…何で、分かったの?』

「昔からわかんだよ…」

「ええ…」

『そっか。』


どこか悲しげな様子の彼女。
そんな彼女を慰める跡部と咲夜。


『…帰ろう…』

「あぁ…」

「そうね。教室に戻りましょ」

『(あれ…そういえばあの声って…)』


ふと、そんなことを思う、優良だった。


(ふふふ…このオレを無視か…いいどきょうしてるね…)
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