中編&短編用

□09
1ページ/1ページ






そろそろ、先輩の体内に残っている……蟲?だっけ……を駆除しないと。
これから周期的に吐き気をもよおすようになったら、きっとキツい。
それが食事のたびにああなるのは精神的にも辛いだろうし。

なにかいい案はないかな……。
強力な虫下しでも与えたら……いや、人体に影響が出ちゃうかも。
それは避けたいなぁ……と、トイレの前の廊下で壁に背を預けながら考える。

手っ取り早くやっちゃうなら虫下し……でも人体にどんな影響が出るか不安。
時間がかかってもいいなら俺がちょっとずつアレする……でも回復してきているとは言えども先輩の体力不足が難点。

ならば。



「二つ組み合わせて……俺が一気にアレしちゃえば」



でもなぁ。そうするとなぁ。



「いままで隠しきっていたことがモロバレっつーことだな」



どんな反応が返されるのか、怖い。とても、恐ろしい。

好いている人に嫌われたくない。
慕っている人に見放されたくない。
尊敬してる人に蔑まれたくない。
恋し愛する人に厭われたくない。


でも、それは。



「結局は、先輩を見殺しにするだけじゃないか」



余命幾ばくもないあの人を救いたい。

幼いあの頃、思ったこと。
    逃げ出したこと。
   救えなかったこと。
  悔やんだことだった。


今度は、後悔しないように、救えるように、逃げ出さないように、叶えるために。



「行動するんだろ、大人になった俺」



あの頃助けられなかった人と子供だった俺は、もう居ないのだから。




人間たちの友の懊悩



---------------------
もちろんBGMはおじさんの喘ぎ声(笑)

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ