中編&短編用
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モグモグ……。
いやはや梅干しはすっぱくておいしいですな。
……違うもん。べつに雁夜先輩に食べさせたご飯で食材が梅干しオンリーになったわけじゃないもん。
もんってキモいな、俺。
めったに買い物したり買いだめしたりしないのが仇になったな。
この家の中にある腹を満たしてくれる食材は、このすっぱい梅干ししかない。
……あとでコンビニ……いや、スーパーでいろいろと買うか。
先ほどスマフォでググった流動食の材料とかも欲しいし。
それに俺は早目に栄養をとらないといけない。
なにせ雁夜先輩の治療に莫大な力を使ったからだ。
燃費悪い気がしてきた。
いや最近全然使ってなかったから、体が追いついてないだけだろう。
そう思わないとやってらんねー。主に食費的な意味で。
これからいっぱいこの力を使わなきゃ、雁夜先輩はおそらく死んでしまうだろう。
……それだけは、絶対に嫌だ。
純粋に知り合いが死ぬのは嫌だし、そんな目には極力遭いたくない。
それにプラスされて相手は雁夜先輩だ。
高校時代からの、俺の想い人だ。
……男同士で、というのも世間をはばかるものだとはわかるが、どうしようもない気持ちは誰にだって持ち合わせていると思う。
例えば愛するモノが車だったり、犬だったり、二次元だったり。
人は色んなモノに恋をする。
世間の一般常識というものから、かけ離れすぎているといわれる恋慕だけど、それは否定されてはいけない。
どうしようもないのだ、心なんて。
なにが自分の琴線に触れるのかなんて、触れた後にしか理解できない。
それが望むにしろ望まないにしろ、心動かされたのは事実。
変えようのない、現実。
「……好きなんですよ、どうしようもなく」
轟く者の恋慕
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それが俺の恋愛論