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□振り向き様に
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こちらに背を向けているエスカバを呼んでみる。
「エスカバ」
「………………」
「おーいエスカバさーん」
「………………」
ダメだコイツ。本読んでて気づいてない。あ、コーヒー飲んだ。しかもカップに口つけたまま読んでる。すごい集中力。でもこちらに気づかないからイライラする。もっと近くによってみる。エスカバの背中まであと数cm。腰をかがめて自身の口をエスカバの耳元へ。
「エスカバー」
「………………」
「エスカバー好きー」
「ぶっ!?」
コーヒー噴いた。汚い。ていうかそんなにビックリするものなの?かなり噎せているし、そうなんだろうけど。荒い息をどうにか整えたようで、勢いよく後ろを振り返る。
「お前な、むぐ!?」
触れ合いはわずかだったけど、エスカバがわたしの方に気を向けてくれたからよしとしよう。眼前にあるリンゴみたいな顔が愛しくて思わずにやける。口、パクパクしててまるで金魚のようね、とてもかわいい。
苦くて甘い
コーヒー味のkiss
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