Novel1

□※I want you to Love.
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風呂場には、湯船で湯が波打つ音に混じり、荒い吐息が響く。
その水音に混じり、僅かに濡れた音も風呂場に反響していた。

「シズ、ちゃ…そんな、だめ…っ」

喘ぐ声は、ひとつだけ。
自身を両手で丹念に扱きながら、ひたすらに大嫌いな人間の名前を囁く。

先端の割れ目を引掻くと、自分の指なのにぶるりと体が震えた。
ゆっくりと亀頭から離した指先は、快楽を求めるように透明な糸を引く。

息を詰めながら目を瞑ると、顔が浮かぶ。
見たことも無い、情欲を漂わせる、獣のような顔が。

何度も何度も自らの指で愛撫すれば、先から零れる淫らな蜜が指を汚した。
その指を自分の後孔へ持っていくと、濡れて艶かしく光る指先をゆっくりと穴に差し込んだ。

「んっ…あぁ…ひッ」

片手は自身を愛撫したまま。
ゆっくりと抜き差ししながら自らに指を埋めていく。
痛みなんて感覚は、とっくの昔に手離した。
指先が気持ち良い場所を掠めると、しなやかな腰が一際揺れた。
掠めるだけの愛撫を繰り返せば、煮え立った欲望が形を持って更に膨らんでいく。

「やだぁ…ちゃんと触ってよぉ…」

啜り泣くように嘆けば、
自身の中で構成された静雄は口角を吊り上げて「淫乱」と罵った。
違う、と首を横に振るも、責め立てるように前立腺に指を突き立てればそんな余裕は無くなり、
否定の言葉とは程遠い甘い喘ぎが薄く熟れた唇を転がる。

「や、だめ、ん…ぅあ、ひぁッ」

もっと。
もっと気持ちくして、して。

指を増やし、中でバラバラに動かす。
身体は跳ね上がり震えるのに、
指だけが他の誰かの物のように臨也の中を蹂躙した。
夢中になって指を動かして、憎たらしい姿に重ねて。

「シズちゃんん…イッちゃうっ
だめ、そんなっ…ぁっ、ああ!」

臨也は腰を突き出して、自らの指で果てた。
清潔感のある白いタイル、
そして自身の腹部にまで、白濁の液をぶちまけて。





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