Novel1

□環状線、片道につき。
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「ねぇ、シズちゃん」

事後のシーツは、独特な青臭い匂いがする。
嫌いじゃない。でも好きじゃない。
ぼんやりと考えながら離れて寝転がる、1つのベッドの上。

決まって、俺は言う。


「好きだよ」


心なんか込めない。
込めたら敗けだ。
敗けたら、やり直し。

「…そうか」

シズちゃんの返答は素っ気無い。
だって、感情を込めたら敗けだから。
敗け。敗け。敗け。
どっかから、やり直しだ。


「好きだよ、判る?愛してるよ?」

「俺は大嫌いだ」

「俺も嫌いだけど愛してる」

ねぇ、大嫌いだよ。

囁いて、静雄の背に縋る。
額をくっ付けて、鼻先もくっ付けて。
ついでに爪を立てて、キリキリと跡を刻む。
シズちゃんは「止めろ」と、痛くも痒くも無さそうに言う。


痛いって言ってよ。
痛い、痛い、って、泣いてよ。
犬みたいに、猫みたいに、馬鹿みたいに。
痛い。痛い、




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