Novel1

□Birthday Present
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臨也と静雄は、高校からの仲だ。
――と言っても、会話が成り立つようになったのは、ここ数年。
高校生の時は、顔を合わせれば喧嘩、喧嘩、喧嘩。
今更ながら、中々血気盛んな青春時代を送った。
簡単に言えば、二人とも少しは成長した、と言うことだ。
…大抵は、池袋に臨也がいるだけで直ぐに喧嘩になるのだけれど。




臨也は、静雄の家を訪問していた。
理由など特に無い。暇だったから、というだけ。
ここなら突然静雄が暴れても自分は逃げればいいし、
部屋が崩壊しようと自分に被害は及ばない。

――そんな時、ふとカレンダーが目に映った。
此方を気にしすらしていない静雄を呼び、カレンダーを指差す。

「ねぇねぇシズちゃん、あのカレンダーの丸、なに?」

「あ゛ぁ?」

静雄は面倒くさそうにテレビに向けていた視線をカレンダーに向ける。
カレンダーの丸ひとつに興味を示す臨也を不審に思ったのか、眉を顰め、どうして、と理由を強いた。

「何かあるのかな、って思っただけだよ。文句あるの?」

「…ねぇけど」

静雄は疑いの目を未だに覗かせながら、
「幽の誕生日だ」と答えた。
わざわざ誕生日をメモしておくような奴だったのか、
と臨也は何処か感心しながら立ち上がると、壁に掛けてある飾り気の無いカレンダーを捲った。
数ヶ月に一つほどしか付けられていない丸印を一々静雄に問い掛けていくと、
面倒臭そうにしながらもきちんと返してくれた。

1月から12月まで満遍なく尋ね終わったところで、臨也は首を傾げた。

「両親の、弟君の、上司の、
で、シズちゃんの誕生日は?」

肝心の本人の誕生日が見当たらない。
静雄はそんな臨也を見ながら、さして気にすることも無く返した。

「他人のを忘れてると失礼だけど、俺の誕生日は俺がわかってるから良いだろ」

その言葉に、臨也は小馬鹿にしたような笑みを零した。

「そうやって、誕生日を指摘されなきゃ毎年自分が年取ったことすら気付かないんでしょ」

「……」

静雄は眉根を寄せたが、何も言わない。どうやら図星のようだった。
何だかその様子が面白い。




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