Novel1

□Sweet Sigar
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「美味いか?」

静雄の態度を臨也は気に入らなさげに睨み付けたものの、
はぁ、と溜息をつき、涙目になっている眼を拭う。

「不味い」

静雄は、「やっぱり」と言うように笑った。
既に限界まで吸殻になっている煙草を、持参の携帯灰皿に入れた。
それをみた臨也は、意外そうに静雄に言う。

「学校の備品は壊すのに、煙草はちゃんと灰皿に入れるんだ」

「当たり前だろ、常識的に考えて」

澄まして言う静雄が何だか面白くて、臨也は笑う。

喧嘩は頻繁にする。
学校のものは直ぐに壊す。
授業はサボる。
未成年で喫煙。
でも、煙草はちゃんと灰皿へ。
そして、動物と遊ぶのが好き。
妙に不良になりきれていないのが、静雄だった。

静雄は臨也を睨みながら、煩いな、と言いたげに、煙草を再び出そうとする。


「だーめ」

不意に伸びてきた手が、静雄の手を止めた。
突然のことに、眉を顰めた静雄。
臨也はニコリと笑って、
啄ばむようにキスをした。

「煙草より、こっちのほうがいいな」

突然のことに動揺したものの、
静雄は片眉をつり上げて笑う。

「口寂しいだけなら付き合ってやるよ」

臨也は、へへ、とはにかみながらに笑った。

その笑顔が、眩しい、と感じた。



もし、いつか。
臨也が煙草を吸いだしたとしたら、全力で止めさせるんだろうな、
なんて、静雄は思った。







END
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