Novel1

□青空讃歌
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ここ数日、連続で雨に見舞われ、昨日まで屋上はずぶ濡れだった。
しかし、まるで「代わりに」とでも言うように、今日は随分と綺麗に晴れ渡った。
青い空が、眩しいほどに。


斜め前で膝を抱えたまま座っている臨也の漆黒の髪が、風に吹かれてさらさらと揺れた。
それすら、眩いものでも見るように目を細めた。

何にせよ、今日は怒る気がしない。
怒るのも勿体無い、と思えてしまう。
折角の晴れ日を、穏便に過ごそうとしている俺に感謝しろ。


静雄が空を仰ぎながらそんなことを思っていると、
唐突に臨也が言った。

「シズちゃん、これ一口ちょうだい」

臨也は返答も待たずに紙パックを取ると、躊躇いも無くストローを口に付けた。
その後しばらく臨也がストローを咥えたままだったため、まだ然程飲んでいないのに全部飲まれるのは勘弁な静雄は、眉を顰めて言う。

「いつまで飲んでんだ?」

臨也は寝転がったままの静雄を振り返り、ふふ、と愛嬌のある笑顔を零すと、
パック…では無く、ストローを静雄に見せた。
がしがしと噛んだ跡がストローにくっきりと付いている。しかも、ストローの飲み口はかなりひしゃげている。
静雄はイライラしながら、起き上がってパックを受け取った。
パックは、思いの他重い。臨也はあまり飲んでいないようで、ストローを噛むために飲んだのでは、と思う。

「…中身入ってるだろ」

「うん」

「すげぇ飲みにくい」

「知ってる」

「手前に全部譲ってやろうか」

「要らない」

ずっとニコニコしたままの臨也。
静雄は溜息をつきながら、ストローを咥えると無理矢理に吸った。

それを見た臨也は、不意にピースをして見せた。
何かと思えば、嬉しそうに喋りだす。



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