Novel1

□お酒は二十歳になってから!
2ページ/5ページ


そんなことを思いながら、静雄を見ていると再び目が合った。
すると、眉根を寄せながら、更に臨也の方へ寄って来た。
距離が近くなる。
普段こんな間近で殺り合いもせずに静雄を見ることも無いため、妙な胸の高鳴りを覚えた。

「ざけんなよ!こっち見てんじゃねぇ!」

「だってシズちゃんが」

シズちゃんが近付いてきたんでしょ?
そう反論しようとした瞬間。


唇が塞がれた。
一瞬状況が飲めず、驚きのあまり声をあげそうになり、口をあけると更に唇が密着度を増した。
噛み付くようなキスに、頭がぐちゃぐちゃになる。
肩を掴まれ、跳ね除けることすら叶わない。


漸く唇が離れた。
臨也は上がった呼吸を整えながら、顔を真っ赤にして静雄に叫ぶ。

「何考えてるの!?公衆の面前で!」

見回した先に居る歩行者が、止めていた足をそそくさと動かしだす。
静雄は、キョトンとしたまま臨也に言った。

「喧嘩と変わんねぇだろ」

「違う、ぜんっぜん違うよ!」

どの辺が同じなんだよ!
キスは好きな者同士がやるものだろ!

…そう、自分で思ってから、更に顔が熱くなる。

「…馬鹿、シズちゃんの馬鹿!」

「はァ!?」

シズちゃんが俺を好き?
有り得ない、有り得ない!

「していいことと悪いことがあることも解んないの!?」

「していいことだろ」

「なんで!どうしてそうなるの!」

叫ぶように反論を続ける臨也に対し、静雄はカリカリし始める。
そして、臨也の胸倉をいきなり掴んだ。
殴られる、と息を飲んだ臨也だったが、一向に静雄は動き出さない。
このよく分からない状況を打開しようと、文句でも言ってやろうとした。

が。


次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ