Novel1

□お酒は二十歳になってから!
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その日、
臨也は、いつものように池袋の街を歩いていた。

…と、前方に見慣れたバーテン服の姿を見つけた。
あ、と思った矢先、ぱちり、と視線が合ってしまう。
またいつものように喧嘩が繰り広げられることに、呆れ半分、嬉しさ半分と言った気分で、臨也はナイフを取り出そうとして、

…ふと、気がついた。

静雄の顔が、何だか赤い。
心なしか足取りも覚束ず、此方を睨む目も迫力に欠ける。

まさか、風邪でも引いたとか?

そんなことを思うと、途端に心配になる。
風邪を引いた状態で喧嘩しても楽しくないし、
そんなことをしたら悪化してしまうかもしれない。
心底殺したいなんて思ったこともないし。
…好きなんかじゃ、無いけど。


それでも静雄は、ヨタヨタとしながら臨也の方へ歩いてきた。

「いざやぁ!池袋には来るな!」

「ちょっと、シズちゃん、風邪?」

臨也の問いかけに、静雄は鬱陶しそうに「あ゛ぁ?」唸る。

「風邪なんか引いてねぇ!」

…でも、声がヘロヘロしてる気が…
まさか。

「…シズちゃん、お酒飲んできた?」

アルコール臭がするわけではないが、臨也は半信半疑で問いかける。
すると、静雄はぽやんとした顔で、思い出したように言った。

「あぁ、缶ビールを1本だけ」

「…え……」

ビール1本で、どうしたらそんなにヘロヘロになれるんだ…

「シズちゃんってお酒に弱いの?」

「弱くねぇ!」

馬鹿にしたつもりは無かったのだが。
静雄はとろんとした目を吊り上げながら、地団駄を踏み始める。
普段と明らかに違う怒り方。

なんか、可愛いし……



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