Novel1

□偽善者と偽悪者のオペレッタ
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帝人は、今日は一人で下校していた。

と言うのも、いつも一緒に帰るメンバーの正臣は、委員会が長引くため一緒に帰れず、
もう一人の杏里は他の人と会う約束があるらしく、真逆の方向へ行ってしまった。
と言うことで、今日は一人というわけだ。

別に、寂しいと言うわけではないが、
いつも3人で帰る道は何だか明るくて、楽しい。
ずっと続いてくれればいい、と思うくらいに。
だからこそ、誰とも喋らず一人で淡々と歩を進めるだけと言うのは、中学生の時と同じはずなのにやはり何処か物寂しい気分になってしまう。

鬱々とそんなことを思いながら、ひたすら帰路を歩んでいたときだった。



「やあ、帝人くん」


「わ!?」

突然降ってきた声に、驚いて思わず声を上げた。
何処からかと見上げれば、歩道に黒い影を見つける。
黒髪に、黒いジャケット、中着も、ズボンすらも黒。
漆黒を纏った彼は、白い綺麗な顔をニコリとさせ、楽しそうに歩道橋を下ってきた。

「臨也さん、こんにちは」

帝人は動揺を交えながら挨拶をする。
まさか会うとは思わなかった。

「正臣君と杏里ちゃんは?」

「今日は一緒に帰れなかったので」

正臣はともかくとして、いつの間に杏里の名前を覚えたのやら。
そんなことを思いながら、帝人は「どうしたんですか?」と問いかける。
臨也は笑顔を崩すことはせず答えた。

「帝人君に会いに」


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