Novel1

□※救われない恋の歌
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「まぁ、実際、僕もセルティの方が好きだし、性欲処理って言ったらそれまでなんだけどね」

毒牙のような言葉を平然と吐いた新羅。
その手には、いつの間にか注射器のようなものが握られていた。
注射器の調子を確かめるかのように、中に入った得体の知れない液体を注射針に伝わせる。

「新羅…なにそれ、やめろ…」

「そんな動かない体で、何言ってるの?」

にこり、と笑った新羅は、力が入らずぐったりとした臨也の腕を取ると、注射針を刺した。
その液体は、臨也の身体に容赦なく注がれる。
ヤバイ。それだけは分かる。
新羅を睨みつけると、「怖いなぁ」と、笑った。

「何、注射した…?」

「ん?そのうち分かるよ」

新羅はそう言うと、臨也のズボンのフロントに手を伸ばした。
ただならぬ事態に、臨也は必死で手足をばたつかせるも、力が入らない身体では無意味だった。
簡単にズボンを脱がされ、下半身は下着のみになる。
怖い。
焦りと共に浮かんだ言葉を呑みこみ、怒鳴ってやろうと口を開いた時だった。

「あっ!?」

突然、下半身に痺れるような感覚が走った。
背骨の奥が熱くなり、体がゾクゾクと震える。
その感覚の先へ視線を向ければ、新羅の手があった。

「な、に…して…ん…っ」

新羅の手は、下着越しの臨也の昂りの輪郭を捉えるように指を這わせていた。
既に反応を示し、勃ち上がり始めている敏感な程の自身の状態に、まさか、と思いながら、焦る気持ちを抑えて問い掛ける。

「新羅、まさかさっきの、注射…」

「分かった?この前たまたま知り合いからもらったから、確実に人間な臨也で試してみようと思って。どう?」

「ふ、ざけ、な…っあ、ひっ…」

新羅のささやかな愛撫だけで、臨也の身体は簡単に跳ねる。
それが悔しくて、震えないように踏ん張ろうとするのに、弛緩剤がそれを許してはくれない。
背骨の辺りが疼いて、新羅の手が先端を掠める度にぞくりと身体が震え上がる。
下着が濡れているのが分かって、恥ずかしくて仕方が無い。早く止めて欲しいのに、身体だけは嫌なほどに快楽を欲しがる。

「新羅、愛しのセルティに、…言うよ?」

「言えるものなら言えば良いよ。でもその時は、静雄に伝わると思っててね?」

ビクリ、と臨也の肩が跳ね上がる。
一瞬で畏怖を映し出した臨也へ、「だから無駄な抵抗はよしなよ」と、新羅は笑顔で言った。


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