Novel1

□RAINY DAY
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突然、俯いている視線の先に立ち塞がるように人が現れた。
何なんだ、そう思いながら嫌悪を滲ませた顔で見上げると。

「手前、傘も持ってねぇのか」

…シズちゃん、だった。

「今朝天気予報で降水確率80%って言ってただろ」

「だって傘、邪魔だから」

「傘に何ケチつけてんだよ」

静雄は、呆れた声を溢す。

…何となく、安心。
理由は解らないけれど、静雄に会うとホッとする。
死ねば良い、と思っている奴に会って落ち着くなんて、おかしいのだけれど。

「手前、風邪ひくぞ」

「そうだね…まぁ、シズちゃんは馬鹿だから風邪ひかないんだろうけど」

「…人が心配してやってるのに、何ナメた口きいてんだノミ蟲…!」

挑発されるためにあるのでは、と言うほど簡単に苛立つ静雄を笑いながら、
そろそろ電車が着く頃だ、と思い出した。
まだ遭遇してから少ししか経っていない。
雨だからか、派手に喧嘩と言う空気にもならない。
家に帰らない訳にはいかないし、電車を1本後らすと、学生の姿が目立ち始める。
何となく惜しいような気はしたが、歩き出そうとした時だ。


「傘、入るか?」


突然の言葉に、臨也は眼をぱちくりさせた。
何なんだ、コイツ、突然。
傘を貸す気になる前に、自分の所持品を考えろ。

「傘一本しか無いだろ?シズちゃん濡れるよ?」

「何で濡れるんだよ」

その言葉に、臨也は訝しげに静雄を見た。
何で、って、傘を貸すんだから――

ん、あれ?


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