Novel1

□※君に溺れる。
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しかし、静雄はそんな臨也を見透かしたように指を引き抜いた。
突然の喪失感に身体を震わせ、静雄を背中越しに見ると、
やはり楽しそうな表情をして臨也を見て言った。

「どうして欲しいか言ってみろ」

「…っ」

欲しい。欲しいけど、恥ずかしい。

「言ってみろよ」

「…いらないっ」

恥ずかしさに負けて首を横に振る。
すると、静雄はつまらなさそうな顔をした。
そして、壁立ちをした臨也から離れる。

「じゃあ止める」

「え…」

場合によっては、何と言おうと続きを強いてくるのに。
ぽかんとしたままの臨也を他所に、静雄は背中を向けると風呂場を出ていこうとドアノブに手を掛けた。


「やだっ」

思わず叫んで、静雄の手首を掴んでいた。
静雄は振り返り、臨也を見据えたように言う。

「嫌なんだろ?引き留める必要なんかねぇよな」

ぐ、と唇を噛み締めた。
今、熱気で頭がおかしくなってるんだ。
そう自分に言い聞かせ、臨也はどうにか口を開いた。

「欲しい…
シズちゃんので、めちゃめちゃにして、欲しい」

「…本当に淫乱だな」

馬鹿にしたような声が耳に届いたかと思えば、
次の瞬間には手首を壁に押さえ付けられていた。


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