Novel1

□※君に溺れる。
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耳に残る放水音。
ぐちゅぐちゅという淫猥な音から逃れるように、
背後からするシャワーの音を耳で辿りながら、臨也は壁に額を擦り付けた。


つい先刻までベッドルームで肉交を重ねた身体。
大嫌いな大嫌いな人間である静雄の手に理性を解かれ、
嫌だ止めてを繰り返しながら彼の欲情に身体を支配されていた。

そして今、事後という状態に至るのだが…。
臨也の中に吐き出した残滓を掻き出す、という名目の第2ラウンドが始まっていた。


「…ッ…シズちゃん、もぅ、大丈夫だってばぁ」

散々吐き出された液が、水とは違う速度で臨也の太股を伝っていく。
壁向きに立たされ、後孔にシャワーを当てられながら中を掻き回され、
内腿が震えそうなのを必死で堪えながら、壁に額をくっ付けて唇を噛んだ。

「臨也、今感じてるだろ?」

「ちが…っぁ…」

意地悪な声に反論しようとするも、
静雄の指先が敏感な前立腺を掠め、思わず熱い吐息を溢した。
静雄が得意気な顔をしているのは簡単に想像でき、悔しさに唇を噛み締める。
でも、快楽を感じないのかと問われれば、間違いなく感じていた。
逃れようがない。逃れたくない。

しかし身体は欲望には忠実すぎるくらいに素直で、
前立腺を引っ掻くように刺激されると、臨也は堪えきれず甘い声を溢した。
タガが外れれば後は止まらない。
娼婦のような甘ったるい喘ぎを溢しながら、
無意識のうちに攻められることを催促するように腰を揺らした。
静雄も、その様子に満足したように妖艷に笑う。

「淫乱だよな、ノミ蟲のくせに」

「違…ぁん…ひ、ぁうっ、ダメそこ、奥、おくぅ…」

「奥が良いのか?」

「おくも、やだぁ…っ」

呼吸すらひきつりそうになりながら、臨也は矛盾に矛盾を重ねた声を漏らす。

奥がいい。
でも奥を望むと、またおかしくなるくらい喘いでしまう。
これ以上深く入るものなんて、彼の昂りだけなのだから。


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