Novel1

□少年恋煩い
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臨也に触れる夢を見た。



「シズちゃーんっ」

いつものようにちょこまかと走ってきた年齢にしては大人びた黒い服を着た少年は、シズちゃん、と慣れたように呼んだ青年の腰に抱きついた。

「…シズちゃんじゃなくて、静雄、だ、臨也」

「ううん!シズちゃん!」

静雄が言い直させようとするも、臨也はニコリと笑って静雄に言う。
どうもこの笑顔には弱い。
最早諦めすら覚えている静雄は、いつものように臨也の頭を撫でようとして――
思わず、その手を引っ込めた。

腰に抱きついたままの臨也は、僅かに不自然だった静雄の動きにキョトンとしながらも、腰から手を離すと、静雄の手を、それより幾分小さな紅葉のような手で握った。
静雄は小さく肩を跳ねさせ、その手を見詰める。

「シズちゃん、今日もおしごとだった?」

「……」

「…シズちゃん、おしごとだったの?」

「、あ、悪ィ、仕事だった」

見詰めたまま黙り込んだ静雄は、2度目の問いかけで我に返った。
余りに分かりやすい不自然さに、不機嫌をその顔に滲ませた臨也は、深く考えることもなく問い掛ける。

「シズちゃん、今日、へん」

…まるで図星を突かれたかのように、静雄の肩が更に跳ね上がった。


確かに今日、静雄は変だ。
…と言うのも、原因は昨晩まで遡ることとなる。



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