リクエスト
□色恋ロジック
3ページ/5ページ
体温の上昇する身体は、再び彼を求めているように感じた。
身体を幾つも重ねるうちに、彼のを求めるようになった淫らな身体は、自身の並べ立てた論理に嫌に一致する。
触れたい。触れられたい。
嫌われたくない。
愛されたい。
喘げば喘ぐほど、深みに沈んで浮き上がれなくなる。
長い濃厚な口付けを惜しむように、離した唇を銀糸が繋ぎ、耐え切れずにふつりと切れた。
「っ…はぁ、はぁ……」
上がった呼吸を整えながら、ドクドクと脳髄まで鳴り響く鼓動に、頭がくらりとした。
静雄は、真顔のまま言う。
「臨也が触れたいと思うなら触ればいい。
だから、俺が触れたい時にテメエに触れる。
複雑に考えるのはめんどくせぇ。
触りてぇって言うのが愛情なら、それも上等だろ」
静雄らしい、複雑な絡まりを嫌う言葉に、論理的な意見を真っ向から否定された。
しかし、それが悪い気分かと聞かれれば、そうではなく。
事実、壊されて欲しかったのだから。
この、何でも壊してしまう恋人に。
「本当に…やって欲しいこともやって欲しくないこともやってのけるよね…シズちゃんって」
「?」
臨也の顎を掴んだままで首を傾げた静雄。
クスリ、と臨也は笑みを零した。
「単純って事だよ」
「テメエ…」
距離が近いまま、静雄はあからさまに顔を顰める。
その様子に、臨也は柔らかい笑みを浮かべた。
普段の臨也から、柔らかな、暖かな笑顔が零れることを知っているのは、自分だけ。
個人的な優越を感じ、静雄はニヤリと悪戯をする子供のように笑う。
.