リクエスト

□色恋ロジック
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僅かに口許を歪ませた静雄。
臨也は、静雄が理解を拒んでいる表情なのだろう、と一人解釈し、再び口を開いた。

「好きな相手に触れたい、
でも嫌われたくない、
相手が違う人間を好きになったらどうしよう、
…付き合えば、誰もが一度は考えることだよ」

「感情で動いているように聞こえるけど、誰もが辿る道筋なら、最早論理的だと思わない?」

「論理に基づいて誰かを愛している――滑稽だと、思わない?」

口角をつり上げて、嘲りを交えた笑みを零す。

その様子に、静雄は思考を巡らせ、思いついた様に尋ねた。


「テメエも人間なら、そうなんじゃねぇのか?」


静雄の言葉に、臨也は目を丸くした。
そして、直ぐにその頬を緩ませる。

「どうなんだろうね?」

突き止めて欲しかったような、突き止められたくなかったような。
臨也はそんな表情を滲ませた。


高校時代からあまり学業は好成績ではなかった。
勿論、彼の理屈を捏ね繰り回した言葉を理解しかねることもしばしば。
でも、何となく、静雄は核心を垣間見た気がした。



再びナイフを弄り始めた臨也。

その顎を掴み、その薄い唇へ深く口付けた。
僅かな隙間すら許さない、噛み付くようなキス。
驚きに目を見開いた臨也だったが、その端正な顔立ちに安堵を滲ませた。

「ん…ふぁ…ンぅ…」

口腔を蹂躙しだした静雄の熱い舌へ、臨也もつられるように赤い舌を絡める。
淫猥な音が絶え間なく口内から響き、二人の空間に溶けていく。

吸い出された舌を甘噛みされ、ぶるりと震えた臨也。
僅かに痛みを催す歯形をゆっくりと丹念に舐め上げられ、静雄を咥えこむことに快楽を覚えた蕾がひくりと震えた。

歯列をなぞられ、絡めあい、ひたすらに互いの存在を確かめるように貪り合う。
キスもセックスのうちのひとつ――そんな言葉を易々と鵜呑みにしてしまうような陶酔。



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