リクエスト
□鎖
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カチャ
「起きたのか、臨也」
――やっぱり。
臨也は引き攣った笑みを漏らす。
そこには、金髪でバーテン服の男が立っていた。
「シズちゃん…何が目的?」
首輪が邪魔で近づけない。
立ち上がることすらせずに臨也が尋ねると、代わりに静雄が近付いてきた。
不敵な笑みを満面に浮かべて。
突然手首を掴まれる。
骨が軋む感覚に、顔を顰めた。
「痛…シズちゃん、離し」
…言葉は、途切れる。
静雄の重ねられた唇。
突然のことに肩を竦ませ、唇をぎゅっと閉じた。
しかし、その小さな抵抗すら許さない、とでも言うように、静雄の手が臨也の手首を更に軋ませる。
痛みに顔が歪み、口角が引き攣った隙に静雄の舌が臨也の唇を割って入り込んだ。
「ふン…シズ、ちゃ…ぁ…」
ピチャ、と、唾液の絡む音が響く。
耳を塞ぎたくても、片腕を静雄に拘束されていては、片方塞いだところで意味を成すはずもない。
舌を絡められ、歯列をなぞられ、ざらつく熱い舌が触れ合う。
結べず開いた口角から、唾液が顎を伝って落ちた。
抵抗しようにも、腰の砕けるようなキスが全てを邪魔する。
臨也は、わけの解らないままに口内を蹂躙する舌に酔った。
舌から銀糸を引きながら唇を離したのは、数分後だった。
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