リクエスト

□鎖
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「ん…?」

臨也は目を覚ました。
暖かな日差しがカーテンの隙間から差し込み、思わず目を細めながら半身を起こす。
頭が若干痛んだが、久しぶりに深く寝入った気がする。

…ここまでは、いい目覚めだった。

ジャラ、と、
金属の掠れる音が臨也の極近くで響く。
そして、首への妙な違和感。

「何これ……」

首輪。
他に言い表しようが無い。
犬が付けるような首輪を、その首にはめていた。
勿論そんな珍妙なプレイに興味はないし、自分ではめた覚えも無い。

心当たりが、ひとつ。
この見覚えの無い部屋と、頭の痛みと、途絶えた記憶が物語っていた。



昨晩。
睡眠不足が祟り、少なからず俊敏さは欠けていた。
池袋へ来ていたのだが、運良く静雄には会って居なかった。
このままなら、あの喧嘩人形に遭遇せずに抜けられそうだった。

…それは、油断へ繋がる。

突然飛んできたゴミ箱に頭に打撃を喰らわされ、そこから記憶がスッポリと抜けている。
きっと、脳震盪を起こし気を失い、そのまま睡眠不足を補うために身体が勝手に寝てしまっていたのだろう。
そして、その間に何かが起きた――としか考えられない。


予想が的中するなら、ここは恐らく――




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