リクエスト

□愛昧コンテスト
2ページ/7ページ



臨也の毎日は、喧嘩から始まる。
誰と誰の?
それは、勿論。


「真広!勝手に寝室に入んじゃねぇ!」

「るっせぇな、静雄には関係ねぇだろ!引っ込んでろっ!」

「親に向かってなんだその態度は!?」


「静かにしてよ…」

…勿論、静雄と真広の。

二人の間に生まれた、今年中学3年生になった平和島真広は、親である臨也が大好き、だ。
その分、もう片親の静雄は嫌いだ。
臨也としては、家の家具の平和も考えて、仲良くして欲しいのだが、幾ら言っても無理そうである。
真面目な心の広い子に――
そんな願いは何処へやら。
真広は二人の子供らしく育ってしまったわけだ。
まだ、反抗期の子供の我が侭でまとめられる年齢ではあるが、やはりいつかの自分たちを見ている気分である。



「じゃ、行って来ます!」

「いってらっしゃあい」

臨也は、ニコリと笑って玄関を出て行く真広に手を振り、見送った。
リビングへ戻ると、相変わらずの
バーテン服を纏った静雄がいた。
此方に気がつき、ぶすりとした顔で臨也へ歩み寄る。

「シズちゃん、真広に怒ってるの?」

「…別に」

静雄は意地を張ったようにそう答える。
しかし、この時間帯に起こる要素なんて、真広しか居ない。
思わずクスリと笑みを零す。

…と。

「んっ…んぅ…ぁ」

唇が重ねられ、舌が割り込んできた。
舌を攫われ、ざらつく感触が絡まりあい、唾液が卑猥な音を立てる。
静雄の舌に口内を犯されると、頭がぼんやりとしてくる。
この感覚が、堪らなく好きだ。

「っふぁ……
シズちゃん、ヤキモチ?」

唇が離れ、紅潮した顔で笑って言った臨也。
静雄は「うるせぇ」と一言吐き捨てた。
素直じゃない。
今でも、何を考えているかわからないし、喧嘩も頻繁にするけど、
臨也は静雄が好きだ。
誰よりも、愛している。
勿論、人間愛とは別物として。


玄関を出て行く静雄へ、臨也は予定を確認した。

「今日は仕事が長引くから帰るの遅いんだよね?」

「あぁ、じゃ。」

静雄はそれだけ言うと、玄関を出て行った。

シズちゃんも、真広くらい素直ならいいのに。
まぁ、昔からだから仕方ないし、逆に突然素直になっても気持ちが悪いだけだ。
実際、真広は素直すぎるけどね…

臨也はそう思いながら、情報屋の事務所へ向かうため、自らも外出した。





次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ